展示のご案内(水族展示室)

S2 琵琶湖のさまざまな生き物

このコーナーでは、大型水槽の中では隠れてしまう小さな魚や貝類・エビ類などを展示するとともに、琵琶湖にすむかわった習性をもつ魚たち、琵琶湖への移入種などを紹介します。 かわった習性をもつ魚では、草を食べる魚や音をだす魚、托卵する魚、あるいはオスがいない魚などを展示するとともに、それぞれの面白い習性をビデオで紹介します。

S2-1 琵琶湖の岸辺の生き物

1この展示水槽では、岸辺に古い田舟が沈むヨシ原の情景を再現し、このような岸辺の環境にすむメダカやウキゴリ・カワバタモロコなどの小さな魚たちやテナガエビやスジエビなどのエビの仲間、あるいはヒメタニシ・オオタニシなどの巻貝を見ていただきます。

【岸辺は小さな生き物のすみか】ヨシや水草の茂る岸辺は姿を隠すところが多く、また、餌となる生物も豊富で多種多様な生き物がたくさん見られます。しかし、最近メダカやカワバタモロコなどの小魚たちは岸辺の環境変化などで琵琶湖ではほとんど見られなくなってしまいました。

【タニシの仲間にも見られる変化】淡水の貝としてはなじみ深いタニシの仲間には、オオタニシ・マルタニシ・ナガタニシとヒメタニシの4種が琵琶湖には分布しています。しかし、オオタニシやマルタニシ・ナガタニシの3種は、琵琶湖ではほとんど見られなくなりました。かって岸辺では目立たなかったヒメタニシが、琵琶湖の至るところで増えています。

ページトップへ


S2-2 琵琶湖の小さな生き物

ここではアブラヒガイやビワヒガイ・ウツセミカジカ・ホンモロコなどの魚たちや イケチョウガイやササノハガイ・セタシジミなどの二枚貝といった 琵琶湖固有の小さな生き物たちを個別の小さな水槽で紹介します。

【形は似ていても大きく異なる2種のシジミ】 琵琶湖にはマシジミとセタシジミの2種のシジミがすんでいます。 このうちセタシジミは琵琶湖固有種で、シジミ汁にして食べるとおいしいことはよく知られているところです。 この2種は外見では形が少し異なるだけですが、マシジミが雌雄同体で胎生があるのに対し、 セタシジミは雌雄異体で卵生なのです。また、染色体数は、マシジミでは54本ですが、 セタシジミは36本とまったく異なっています。

【淡水真珠をつくる貝】西之湖や赤野井湾には水面にたくさんの棚がつくられ、ひもで何かが吊るされています。 ひもの先にはカゴが付いていて、この中にはイケチョウガイが入れられているのです。 イケチョウガイはササノハガイやマルドブガイと同様に琵琶湖固有種で、 この貝を使って淡水真珠がつくられています。 真珠は、同じイケチョウガイの外套膜を細長く切って別のイケチョウガイの中に入れることによりつくられます。

ページトップへ

S2-3 おもしろい習性の魚たち

魚たちのなかには、かわった生態や奇妙な産卵習性をもつものがいます。 滋賀県でボデジャコと呼ばれるタナゴの仲間は、生きている二枚貝のエラのあいだに産卵します。 川にすむムギツクはドンコやオヤニラミなど卵を守る魚の巣に侵入して産卵し、自分の卵を他の魚に守らせます。琵琶湖にすむギンブナはすべてが雌で、ほかの魚の精子を利用して繁殖しています。 ワタカは草が大好きで、ウマウオの異名さえもっています。 またナマズの仲間のギギは、ギーギーという音をだすことで有名です。

S2-3-1 貝に卵を産む魚―タナゴの仲間―

タナゴの仲間は、産卵期になるとオスが美しい体色をあらわし、二枚貝のまわりに「なわばり」をつくります。 そして、メスはオスにさそわれて貝の中に卵を産みます。卵は安全な貝の中でふ化します。


S2-3-2 托卵する魚―ムギツク―

ドンコは石などの下に卵を産みつけ、ふ化するまでオスが守ります。 ムギツクは、ドンコの巣に集団で入り込み、卵を産みつけます。 産卵に加わらないムギツクは、ドンコの卵を食いあらします。 ドンコは、残ったムギツクの卵をふ化するまで守ります。


S2-3-3 巣をつくる魚―トウヨシノボリ―

トウヨシノボリは石の下を掘り、すみかにしています。 産卵期には石の裏側に卵を産みつけ、オスが守ります。 巣を作る魚は他にもいて、巣は石や倒木の表面をきれいにしただけのものから、 水草の破片などを集めた鳥の巣のようなものまで、さまざまです。


S2-3-4 オスがいない魚―ギンブナ―

湖や河などに広く分布しているギンブナは、オスがいない変わり者です。 メスだけでどうして増えるのか、ふしぎな魚でした。 研究の結果、ギンブナの卵に他の魚の精子をかけても、ちゃんとギンブナの子どもが生まれることがわかったのです。 ふつうの魚の場合、卵に精子が入り一つになった(受精)あと、卵の発生が進みます。 ギンブナの場合、他の魚類の精子は卵が発生する「きっかけ」になるだけで、卵は受精することなく、発生をはじめます。


S2-3-5 音を出す魚―ギギ―

ギギはナマズの仲間で、昼間は岩陰や水草のあいだに潜み、夜間にえさを求めて動き回ります。 縄張りをもち、すみかの穴ぐらをめぐって仲間同士でよく争います。 釣りあげられたり、網ですくいあげられたりするとギーギーという音をだすことからこの名があります。 音は水中でもよく伝わるため、魚は音に対して敏感に反応します。 ギギ以外にも音を出す魚がいますが、これらは音を情報の伝達に使っているものと考えられています。


S2-3-6 草を食べる魚―ワタカ―

今では田んぼでワタカをみかけることは少なくなりましたが、昔は、雨がよく降る田植えの頃に、琵琶湖から湖辺の田んぼによくのぼってきて、植えたばかりのイネの苗を食べちらかしていました。 コイ科の魚は、歯が口の中になく、ノドに咽頭歯が生えています。 ワタカにも何本もの咽頭歯があり、この歯で草をすりつぶして食べます。


ページトップへ

S2-4 外国から来た魚たち

S2-4-1 外来生物

琵琶湖にはもともとすんでいた魚(在来魚)のほかに、人によって運ばれすみついた魚(外来魚)が生息しています。 外来魚のなかには、在来魚を食べたり、えさやすみかを奪うなど、在来魚に大きな影響をおよぼしているものもいます。 外国から琵琶湖にきた魚には、オオクチバス、ブルーギル、カムルチー、タイリクバラタナゴがいます。 また、国内から琵琶湖に入ってきたものに、ヌマチチブ、ワカサギ、ツチフキがいます。

S2-4-2 北アメリカから来た魚たち

琵琶湖の周辺では若い人たちを中心にルアーフィッシングがさかんに行われています。 釣りの対象はブラックバスとよばれる魚です。ブラックバスは北アメリカにすんでいる魚ですが、 1925年に初めて日本に移植されました。1970年頃より日本での分布が急速に広がり、 琵琶湖では1974年に彦根湖岸ではじめて確認されています。また、ブルーギルも北アメリカに 分布する魚です。この魚は1960年に日本に移入され、1963年に滋賀県に移されています。

【オオクチバス】北アメリカ原産の魚で、肉食魚です。 口に入る大きさの動くものを食べようとすることから疑似餌(ルアー)によるゲーム・フィッシングの対象とされています。 愛好家により全国に放され、在来の魚の脅威となっています。

【ブルーギル】北アメリカ原産の魚で、オオクチバスとほぼ同じ地域に分布しています。 雑食性で、ほかの魚の卵や水草の新芽などを食べます。 オオクチバス同様産卵後の卵と稚魚を守る繁殖力の強い魚です。

S2-4-3 中国から来た魚たち

琵琶湖ではときどき1m以上もあるコイに似た魚が捕らえられます。 コイよりも体が細長く頭が少し丸くなった魚です。 これはソウギョというコイ科の魚で、中国から移植されました。 このほかに中国から来て現在では琵琶湖にすんでいる魚に、 ハクレン・タイリクバラタナゴ・アオウオなどがいます。

S2-5 ビデオコーナー

映像資料を使って「2-3 おもしろい習性の魚たち」で 展示されている魚たちのようすを見ることができます。

S2-6 鯰(なまず)・琵琶湖と田んぼをむすぶ魚

ビワコオオナマズの写真 琵琶湖のナマズは、普段は岸辺近くの水草の中などにすみ、小魚やエビ類などを食べています。 産卵期の5〜6月には、かつては水田の中へ入って、そこで卵を産んでいました。 現在では、田んぼと水路の落差が大きくなったため、水田へは入れなくなっています。

ページトップへ