展示のご案内(水族展示室)

S1 琵琶湖の魚たちとそのすみか
琵琶湖の環境は周辺に点在する内湖やヨシ原と沖合の深い水域に大きく2つにわけることができます。 内湖やヨシ原にはギンブナやタモロコ・ナマズなど琵琶湖以外にも生息する淡水魚の多くが生活しているのに対し、 岩場から沖合いにはビワコオオナマズやニゴロブナ・ホンモロコなどの固有種が主に生活しています。 このコーナーでは、この様な琵琶湖のおもな環境とそこにすむ淡水魚を大型の水槽によって紹介します。
S1-1 内湖・ヨシ原にすむ魚たち
琵琶湖のまわりにはヨシが茂り、水草の繁茂する湖岸や入江、そして湖と水路でつうじた内湖などの環境があります。
このような場所には、一年をつうじてギンブナやタモロコ、ワタカやタナゴの仲間などの魚たちが生活しています。
内湖やヨシ帯は魚類の産卵場として、そこにすむ魚たちはもちろん、沖合にすむ魚たちにとっても大切な産卵場となっています。 えさになるプランクトンも豊富で、ヨシや水草の隙間などかくれる場所もおおいことから、仔稚魚の生育の場として重要な役割を果たしています。
しかし、水草帯や湖岸のヨシ帯は減少し、湖東地方におおくみられた内湖も、相次いで干拓されるなどして、現在では数カ所しかのこっていません。
【ワタカ】琵琶湖固有の魚でヨシ帯や沿岸部の水草帯、そして内湖にみられます。 雑食性ですが、主として水草を食べています。 6〜8月頃、降雨後の夜間に産卵します。 鮮度が落ちやすく、食用にされることはあまりありません。 最近、内湖や水草帯の減少、肉食性外来種の侵入などのより減少しています。 全長30センチメートルほどの魚です。
【ギンブナ】ほぼ日本全国に分布する、全長25センチメートルほどの魚です。 琵琶湖では、沿岸部のヨシ帯や内湖などにみられます。 雑食性の魚で底生動物や水生植物などを食べています。 4〜6月頃、降雨後水草が繁茂している場所で産卵します。琵琶湖のギンブナは雌だけです。 雌だけでも繁殖できる雌性発生という特異な繁殖様式をもっています。
【タモロコ】東海・近畿・中国地方に分布する、全長10センチメートルほどの魚です。 琵琶湖では、内湖やそれにつうじる水路、水草の繁茂した場所などに生息しています。 雑食性ですが、動物食の傾向が強い魚です。 産卵期は4〜7月で、水草や抽水植物の根などに卵が付着します。
【イチモンジタナゴ】濃尾平野と近畿地方に分布する、全長8センチメートルほどの魚です。 琵琶湖では沿岸部のヨシ帯や水草の繁茂したところ、内湖などに生息しています。 付着藻類や底生動物などを食べる雑食性です。 4〜8月頃、ドブガイなどイシガイ科の二枚貝に卵を産みつけます。 琵琶湖では、オオクチバスの侵入により絶滅の危機に瀕しています。
S1-2 岩場から沖合にすむ魚たち
琵琶湖北部の湖岸には、岩場が発達しています。 これらの岩場は急深になっており、そこから琵琶湖の沖合に向けて深くてひろい水域がひろがっています。 その水深は最大約103.6メートルにも達します。
そのため夏になると水深10〜20メートルくらいのところに急に水温が低くなる水温躍層が形成され、
水面付近が30℃近くなるときでも、これより深いところでは15℃以下の水温が保たれています。
このような岩場や沖合には、琵琶湖固有の魚たちがおおくすんでいます。 それらの中には、ゲンゴロウブナのように広大な沖合を泳ぎ回るように進化した種や、
一年中水温の低い深場を利用しているビワマス、それに岩場でえさをとるのに
都合よく体の形を変えたイワトコナマズなどがいます。
【トンネル水槽】「岩場から沖合にすむ魚たち」は、淡水水族展示としては日本最大のトンネル水槽で展示しています。 この水槽は、水深6m、総水量は400dあります。ここで使われているアクリル板の厚さは16cm、直径が3mのものです。 ふだん琵琶湖の沖合、竹生島の周りに暮らす淡水魚が、約300尾も泳ぎ回っています。 下からご覧いただくことで、めったにみられない魚の生態を観察することができます。
【イワトコナマズ】
琵琶湖と余呉湖に生息する固有の魚で、岩場(岩礁地帯)に主に生息しています。
ナマズ科の魚で、口ひげは4本(ただし、幼魚では6本)あります。体長30〜60cmで、
体色は暗緑褐色ですが、ブリキ様斑紋を現すこともあります。夜行性で小魚やエビなどを食べます。
産卵期は5月初旬〜7月中旬で、夜間に礫の多い岸辺の浅瀬で産卵します(ただし、水深2m以深で行われることもあります)。
琵琶湖にすむナマズ類3種(ほか、ビワコオオナマズ、ナマズ)の中で最も美味とされていますが、
琵琶湖では生息数が減少していると考えられています。
【ゲンゴロウブナ】琵琶湖淀川水系の固有種ですが、本種を大阪で品種改良したカワチブナが全国各地に移殖・放流され、
ヘラブナ釣りの対象魚となっています。体高は高く、体幅は狭く平たいことから、ヒラブナと呼ばれることもあります。
繁殖期は4〜6月で、雨で増水したときに、湖岸の水草の多いところなどで産卵します。
産卵期以外は琵琶湖の沖合に生息し、植物プランクトンを主に食べていると考えられています。
体長20〜40cmになる、コイ科の魚です。
S1-3 琵琶湖の主 ビワコオオナマズ
この水槽では、琵琶湖の北部に広がる岩礁地帯を再現し、ここをすみかとしているビワコオオナマズのようすを見ていただきます。ビワコオオナマズは夜行性で、昼間は岩陰に潜んでいるため、夜に明かりをつけ、昼間は暗くして観客が観察する昼間に行動するように照明を調節してあります。
【日本で最大のナマズ】 ビワコオオナマズは琵琶湖だけにすんでいる日本で最大のナマズです。成長すると全長120cm、体重20kg以上になります。 日本にはこのほかに琵琶湖にだけすんでいるイワトコナマズと全国に広く分布するナマズの3種類のナマズがいますが、 ビワコオオナマズはこれらの全長で約2倍の大きさがあります。
【ビワコオオナマズの産卵】 ふだん岩場にすむビワコオオナマズも、5月から7月の産卵期には大雨が降ったあとに 岸辺の浅瀬に押し寄せて真夜中に産卵します。
S1-4 琵琶湖のアユ
琵琶湖にすむアユのなかには、春先に川にのぼって大きくなるものと、産卵直前まで琵琶湖内で過ごすものがいます。
後者は体長10センチメートルくらいにしかならないため、コアユと呼ばれています。 しかし、このコアユも人為的に河川に放流すると大きくなることから、放流用種苗として日本各地へ出荷されています。(左写真:アユ成魚)
アユ仔魚![]() |
コアユ![]() |
S1-5 沖合を回遊する魚 ビワマス
ビワマスは琵琶湖固有のサケ科魚類で、大きいものでは体長50センチメートル以上になります。
琵琶湖の深場を主なすみかとし、コアユやヨコエビ類などを食べています。 産卵期が近づくと黒地に赤の婚姻色をあらわし、産卵場所である流入河川に大挙してあがってきます。
この頃のビワマスは、アメノウオともよばれています。(左写真:ビワマス)
ビワマス孵化後![]() |
ビワマス未成魚![]() |




