展示

A展示室:琵琶湖のおいたち

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A1 滋賀の大地のなりたち

滋賀県の山々を構成している古生代~中生代および新生代中期の地層や岩石の由来や起源、大地や山のでき方、当時の生物相などを紹介します。

A1-1 河原の石は地球のかけら

A1-1-1 河原の石はどこから…

1ふだん、なにげなく見すごしている河原の石。宝石のような輝きはありませんが、様々な色や形、大きさをしています。これらの石はどこから来たのでしょうか。もちろん、上流の山から運ばれて来たに違いありません。それでは、その山を作っている岩石は、いったいどこから来たのでしょうか。河原の小さな石でも、その由来を調べることで大地の移り変わりのようすを知ることができます。

2 【山をつくる岩石】琵琶湖周辺の地形は、外側から山地、丘陵、平野にわかれます。 ここに展示した岩石類は、山地をつくっている中・古生代の岩石です。 むかって右側には堆積岩類を左側には火成岩類をおいています。 火成岩類のなかには、中生代末期にこの地域にあったと考えられている巨大なカルデラに関連した岩石類もあります。 最も大きな泥岩は、重さが7トン以上もあるものです。

A1-1-2 滋賀の大地ができるまで

滋賀県には1,377mの伊吹山をはじめ1,000m級の山が数多くあり、琵琶湖はこれらによってぐるりと取り囲まれています。 湖岸や河原にある石は、これらの山々から運ばれてきました。

A1-2 マングローブの海の時代

3日本海ができた1700万年前ごろ、西日本には温暖な海(第一瀬戸内海)がひろがっていました。 川が流れこむ汽水域では、熱帯や亜熱帯地方にみられるマングローブ林が茂り、 海の中ではヒルギシジミ―センニンガイ群集が、また陸上では常緑カシ類や ヤマモモ、フウといったあたたかい気候を示す動植物が繁茂していました。

A1-2-1 日本海の形成  Formation of the Japan Sea

3200万年前から1500万年前ごろ、日本列島の土台がユーラシア大陸からわかれて日本海が生まれるという大事件がおこりました。 できはじめのころの日本海は、東アジアの淡水魚のふるさとになった、大きな湖でした。 その後、鮎河の海のような、暖かい海流が流れこむ海となりました。

8 【日本近海海底模型】この日本近海海底模型は、日本列島の形成を説明する一環として展示されています。材質の異なる木材を張り合わせて深さや高さを表現しています。このようなさわって楽しんでいただける展示をなるべくおおくつくるようにしました。

A1-2-2 鮎河層群と化石Fossils from the Ayukawa Group

日本海ができた1700万年前ごろ、西日本には第一瀬戸内の海がひろがっていました。 いまは海のない滋賀にも、鈴鹿山脈の西側のふもとに海がありました。この海に堆積した地層は鮎河層群とよばれています。地層中には、貝類・魚類、海生ほ乳類や植物などの化石が多くふくまれ、当時の生き物のようすがうかがえます。

4 【ヒゲクジラの化石】1977(昭和52)年5月、土山町黒滝に流れる田村川の河床に露出する鮎河層群から、 当時名古屋大学の糸魚川淳二氏と平岩五十鈴氏によってクジラの化石が発見されました。 化石は、椎骨18個、肋骨15個、手足の骨などからなっています。推定される全長は、4・5メートルです。 展示してあるのは複製で、実物は名古屋大学に保管されています。

5 【イルカ類下顎骨】1977(昭和52)年9月、土山町山女原の笹路川の転石のなかから岡村喜明氏によって発見されました。 発見された時には約70キログラムのノジュールの中に入っていました。 産出した地層は、鮎河層群の上ノ平層と推定されています。 下顎骨の背面には、歯のはえていた歯槽の穴がのこっていますが、ノジュールのなかからは歯は発見されませんでした。

6 【ニッポノマルシア Nippono marcia nakamurai 】この貝は、泥質の地層からよく産出することから、そのような環境で生息していたと思われます。 また、この貝の現生種であるスダレハマグリは沖縄で生息していることや、 いっしょに産出した貝の特徴から暖温帯から亜熱帯のあたたかい海で生活していたと推定されています。

7 【サンドパイプ】鮎河層群は、湾の奥に堆積した地層なので、ところどころでサンドパイプのような生痕化石がみられます。 サンドパイプはふつう甲殻類や二枚貝、そのほかの水生生物の巣穴としてつくられますが、 このサンドパイプが何によってつくられたかはあきらかになっていません。

A1-2-3 東アジアの淡水魚のふるさと  The Origin of the Freshwater Fish in East Asia

東アジアには、じつにたくさんのコイ科の魚たちがすんでいます。その種類は地球上で最も豊かです。 この地域にはユーラシア大陸や北アメリカ、アフリカ大陸に広く分布する種類だけでなく、クルター類やクセノキプリス類という東アジア、とくに中国に特有な魚たちがすんでいるからです。ところで、これらの魚たちは、日本列島でもおよそ30万年前(中期更新世)までは、ごくありふれた魚たちでした。しかし、いまでは、琵琶湖にワタカを残すだけになっています。この魚たちはどこで誕生し、なぜ日本列島から姿を消したのでしょうか。