第2回:火山灰と火山の話





火山灰の噴出
 火山灰が火山から噴出した灰の様なものという話はしました.じゃぁ,どんな火山噴火でも火山灰を出すか?といえば,そうでもありません.ではどういう火山の噴火だったら,火山灰を噴出するのでしょうか?
 火山噴火のタイプは大きく分けると,「溶岩を噴出するもの」,「火山灰を噴出するもの」があります.このように溶岩を出す火山噴火では火山灰がほとんど出ません.見かけ火山灰にみえるようなものは,火山から噴出されるガスや溶岩が引きちぎられたものが出てくるだけで,我々がイメージするような桜島や雲仙普賢岳のような火山灰は放出しません.ですから,溶岩と火山灰が同時に出されるというのはイメージとしてないでしょう.噴火の仕方も異なっていて,溶岩はどちらかというと流れ出るという印象がありますが,火山灰を噴出する火山は,まさに爆発して吹き飛ばすというイメージです.そういう吹き飛ばす噴火によって火山灰が噴出されます.噴出された火山灰はその噴火の規模によって,どの程度広がるのか?が決まります.また,その分布範囲はその噴出される方向や,そのときの気象条件などによって左右されます.
 日本で大きな規模の火山の噴火は何度かあったことがわかっているのですが,日本ではじめてもっともよく研究された火山灰は,姶良−丹沢(Atとか姶良Tnとか言われます)火山灰です.この火山灰は日本の九州,四国,本州のほとんどの地域に降灰しました.噴火した火山は,今の九州鹿児島湾付近です(姶良カルデラ).このように規模の大きな噴火であれば日本全土を覆ったり,それほど多くなくてもいくつもの県にまたがって降灰するので,離れた場所で同じ時間を示すという事にとても有効だという意味が分かると思います.ちなみに,この噴火は今から2万4千年程前に噴火したとされていますが,数年前雲仙普賢岳で問題になった火砕流がやはり発生し,南九州一体を火砕流で覆いました.この火砕流は今は,地理の時間などで習う「シラス」を作っています.ですからシラスはほとんどが火山灰で出来ています.それほどものすごい火砕流があったとするとその当時の生き物は大打撃を受けたはずです.

火山の活動
 火山灰が噴出するのは火山の活動によるものです.では,火山が噴火するとはどう言うことなのでしょうか?
 火山が噴火する場所はいろいろとあるのですが,「環太平洋火山帯」という言葉を聞いたことがありませんか?太平洋の周りの島等に火山が多いという事から出来た言葉なのですが,このように地球上で火山が一様にあるということはなく,どこかに集中しています.日本はその内の一つです.大洋のまわりというか,大陸の淵あたり,実際にはプレートが沈み込む場所でよく火山が見られます.その他にハワイなどのプレートと関係のない場所でも見られるのですが,火山の大部分はプレートの沈み込む場所に集中しているようです{4}.日本はこの場所にあたるので,プレート沈み込み帯付近の火山にについて述べます.
 火山の噴火について考える前に,火山とはどういうものかを見てみましょう.図に火山についての模式的な図がかかれています.火山の形は多くは図のような凸の形をしたような,吹き出物の様なイメージを持たれると思います.実際には九州の阿蘇にあるようなカルデラなどいろんな形が存在しますが,吹き出物のイメージが一般的だと思います.この図にはいろんな要素が書き込まれていますが,見ていただきたいのは火山活動の部分ではなくて,火山の噴出する道筋である「火道」やそのおおもとである「マグマ溜り」の存在です.一般に,火山の下にはマグマ溜りというものが存在しています.ここには「マグマ」という,岩石の溶けたものが溜まっています.マグマが溜まっているという事で,「マグマ溜り」なんです.火山が噴火するときはこのマグマ溜りから火道を通ってマグマが出てきます.このマグマが噴出しないとどうなるのでしょう?そこでゆっくり冷えて固まって岩石になります.それが花崗岩だったりハンレイ岩だったりします.花崗岩とハンレイ岩の違いはそのもともとのマグマの成分の違いです.見かけも大分違います.ではそのマグマはどこから来るのでしょうか?

 図を見て下さい.プレートの沈み込みとそこで出来る火山のイメージだと思って下さい.日本や中国のある大陸プレートへ,太平洋側の海洋プレートが沈み込み,ある地点でプレートの一部が溶け出してマグマになります.溶けているので周りより比重が軽くなっていることで浮かび上がってくるというものです.このあたりはちょっと難しいメカニズムがあるのですが,何となくプレートが沈み込むことによってマグマが出来るのだと思って下さい.

 とにかくそうやって出来たマグマは上昇してきて上昇しなくなった所でマグマ溜りを作ります.それであることが引き金になって火山の噴火が起こります.はじめに火山の噴火には大きく分けて溶岩を噴出するものと火山灰を噴出するタイプがあると言いました.日本にはあまり溶岩を噴出するタイプがなく(伊豆大島など),多くは火山灰を噴出するタイプです.これはプレートの沈み込み帯で火山が出来ることと関係があると思われます.
 マグマが何らかのきっかけで上昇してくると噴火を起こすのですが,マグマの中には溶けた岩石以外に水蒸気等のガスが含まれています.元々地下の深いところにあるマグマは高い圧力がかかっているのですが,上昇すると言うことは,地下のより浅いところへ移動するという事なので周りからかかる圧力は小さくなります.圧力が小さくなると,マグマの中にあるガスが膨張(大きくなる,体積が広がる)するのでマグマ自体の体積も大きくなります.その膨張が緩やかに行われるとマグマは流れ出します.ガスの膨張が急激なものであれば,破裂したようになるので,爆発するという訳です.流れ出した方は溶岩になり,爆発すると火山灰や軽石を出します.爆発力が大きいほど粉々に砕けるので細かいものが出てきます.それが火山灰になります.溶岩を出す噴火は,爆発的でないので,マグマが粉々にならないで流れ出てくるからです.溶岩は流れ出て地表で冷えて固まって岩石になります.
 爆発的になるかそうでないかは,噴火の仕方や規模によります.また,噴火の規模によって出来る火山の地形が違います.噴火の規模は,噴出量やどの程度爆発的かで呼び方が決まっています(区分されている).噴火の規模が大きいほど噴出するもの(マグマ)の量も多くなります.

火山灰をとばす火山活動
 ともあれ,前述のような活動に伴って火山が噴火し,それが爆発的であれば火山灰が噴出され,より爆発の規模が大きければ,より遠くまで火山灰をとばしたり,噴出量が大きくなります.
 アメリカ西部にあるセントへレンズ火山の1980年の噴火は,これをモデルにした映画もあった(ダンテスピーク)ぐらい衝撃的なものでした.この噴火は規模が大きく,プリニアン噴火という噴火にあたると思われます.このときには規模の大きい火砕流もおき,泥流もあったので,災害も大きなものでした.ただし,事前に噴火予知が出来ていたため多くの人は避難していました.  噴火の規模と火山地形については関係があり,噴火の規模が大きいほど火山が大きくなるのはわかると思いますが,プリニアン噴火やウルトラプリニアン噴火などの大規模な噴火になると,噴火によって火山体自身を部分的または全体を吹き飛ばしてしまいます.また,噴出量が多ければ,一気にマグマを噴出しますので,マグマ溜りにマグマがなくなり,地形的に落ち込んだりします.こうやって,「カルデラ」と呼ばれる地形が出来ます.日本で最も有名なカルデラは,阿蘇カルデラでしょう.という事は阿蘇のカルデラも大規模な爆発的噴火によって出来たということがわかると思います.
 火山灰は富士山などの規模でも噴出されますが,古琵琶湖層に含まれる火山灰などは,広域に追跡できる火山灰がほとんどですので,4や5の様な大規模な噴火で噴出されたものと思われます.こういう大きな規模の噴火では,火砕流を伴います.雲仙普賢岳が記憶に新しいですが,このとき出来た火砕流は災害の規模としては大きなものですが,火砕流の規模としては小さめのものです(災害の規模と,火山の噴火の規模は必ずしも一致しません.たとえば,セントへレンズやピナツボ火山の噴火は雲仙よりけた違いに噴火の規模は大きいですが,災害としては規模は小さい方だったと思われます.火山周辺にどの程度人が住んでいるか,人間の活動があるか?が災害を大きくする重要な要因でしょう.他には火山がどのような活動をするか?や火山噴火に伴う他の災害(泥流など),もちろん規模も要因にはなり得ます).古琵琶湖層にある火山灰の噴出時に発生したであろう火砕流はもっと大きな規模だと考えられます.それにしても火砕流とは何でしょうか?
 火砕流とは,火山の噴火に伴って出来るのですが,いろいろなタイプがあります.雲仙普賢岳の火砕流は岩屑なだれ的(位置的な高くて不安定な場所にある岩石や土砂が砕けて崩れ落ち,山の斜面を下り落ちる)なもので溶岩ドームの崩壊によるものです.前に出てきた姶良−丹沢火山灰などのときに起こった火砕流ではちょっとちがって,噴火によって火山灰が上空へ吹き上げられます.この時,噴煙の柱があがります.これを「噴煙柱」といいます.噴火の勢いが大きい間はずっと噴出し続けるので,ずっと押し上げられるようにして噴出しています.これで噴火の勢いが弱まると,下から押し上げる力が小さくなるので,噴煙柱が崩れてきます.これを「噴煙柱の崩壊」といい,噴煙柱の崩壊が起こるとそれが火砕流になります.上に突き出ていた柱がそのまま崩れてきて火山の斜面を下るイメージです.

 ところで,「テフラ」という言葉があります.爆発的な火山の噴火では火山灰の他に軽石等を出します.軽石は足の裏をこする商品ではなくて,火山の噴出で出てくるものです.軽石がもっと粉々に砕けて細かくなったものが火山灰です.火山灰とは砂粒や泥の粒ぐらいの大きさのものを言うので軽石などは火山灰といいません.そこで火山の噴出物を言うときに,軽石や火山灰などを総称してテフラといいます.テフラを粒の大きさ等ではなく,空に舞い上がったものが降ってたまった「降下テフラ」,火砕流が起こって出来た「火砕流堆積物」,「火砕サージ堆積物」があります.「火砕サージ」とは火砕流に先行して流れていく細かい粒子の流れです.火砕流に伴うものですから(伴わないものもあります)高温で高速に流れていきます.流れると言うより,地表を滑っていくというイメージの方が近いかもしれません(実際には滑っていません).この火砕サージも火砕流と同様大変な災害を引き起こします.
 という感じで,いろいろなものを伴って火山灰が噴出されるのですが,古琵琶湖層が分布するこの地域の近くには火山がありません.近くになくても火山灰は降るということは,姶良−丹沢火山灰の例からもわかるように,噴火の規模によっては遠くから飛んでくることがわかると思います.遠くから飛んでくる火山灰は,火山の噴火で上空に吹き上げられたものが飛んでくるのですが,日本は偏西風(西から東へ吹く風)が吹いていますので,上空へ吹き上げられた火山灰は,日本であれば東へととばされていくものが多いです.中には例外があって,西へとんだ火山灰も見つかっています.これは当時の気圧配置など季節的な問題等が指摘されているのですが,火山が噴火した当時に台風が来ていたために西へとばされた,という研究もあります(西田ほか,1993).
 上空へ吹き上げられたと述べましたが,上空へ吹き上げられる火山灰の経路は2種類あります.火山噴火によって噴煙柱ができ,そのまま風に流されていき,火山灰が降下・堆積するもの(disutal plinian ash)と,噴煙柱の崩壊などによって火砕流が発生し,その火砕流の火山灰が上空へ巻き上げられてとばされて,降下・堆積したもの(co ignimbrite ash)があります.それらは遠くまでとばされて,ある地域で降ったときにその順番やその特性が地層中に保存されていることがあります(鎌田ほか,1994).

火山灰ってどんなもの?
 先ほどから火山灰,火山灰といって来ましたが,火山灰とはどんなものでしょうか?火山灰は火山の灰と書きますが,燃えかすのような灰ではないというのは,火山の活動を考えてもわかると思います.火山の活動によって火山の地下にあるマグマが噴出する.それが爆発の規模によって溶岩が流れたり火山灰であったり軽石であったりするわけですから,見かけが違うのもであっても元は堅い岩石だという事がわかると思います.実際滋賀県の水口町あたりでは火山灰をミガキズナ(今で言うクレンザーな様なもの)として使っていました.そういう火山灰の使い方は滋賀県だけでなくて,粗い火山灰がたくさんとれる地域ではそういう使い方をしていたようです.クレンザーの変わりとして用いられるのは何となくわかりませんか?火山灰は溶岩になるものが粉々に砕けたものですから,元々は岩石と同じものなんですから.
 では火山灰とはどういうものか顕微鏡で見てみるといろいろな形をしたものがありますが,板状のものや泡のようなものが見えるものなどいろいろな形をしているものは火山ガラスと呼ばれるものです.ガラスというと窓にあるガラスを思い浮かべますが,ガラスという言葉は結晶していないという意味があります.火山灰を構成しているものとして,大部分は火山ガラスで,その他に結晶(鉱物),岩片(岩石の切れ端)があります.火山灰も元々は岩石ですから火山で出来る岩石に含まれるような鉱物が入っています(主なものに,長石,石英,黒雲母,角閃石,斜方輝石,単斜輝石,ジルコン,燐灰石等があり,これらすべてが入っているわけではなく(入っているものもある),火山灰によって入っている鉱物やその量比が異なっています.それが火山灰の特徴にもなります.他に宝石に見られるガーネットなども含まれます).マグマがゆっくり冷えて固まると,花崗岩のような鉱物がよせ集まって出来たような岩石になります.これはマグマがゆっくり冷えると鉱物が出来るからです.火山が噴火する時,噴火する以前に冷える過程で鉱物は作られるので,それが火山灰の鉱物として入っています.しかし,マグマの大部分は鉱物にはなっていなくて,急激に冷やされます.ゆっくり冷えると鉱物を作るのですが,マグマが急激に空中に放出され,しかも粉々の状態で放り出されるわけですから,急激に冷えて固まります.そうすると鉱物にならずに,マグマがそのまま固まります.すなわち結晶化していないガラスになるわけです.ちょっと説明が回りくどいですが,取り合えず,大部分は結晶にならなかった火山ガラスというものと,鉱物で出来ているという事です.火山ガラスの形もそれぞれの火山灰で特徴があります.火山ガラスは大まかに分けるとあまり泡のようなものが見えないものと,たくさんの泡が入っている様なものがあります(この形の違いは元々のマグマがどういう状態だったか?を示してくれます.泡の少ないものは,実はマグマ中に大きな泡(ガス)があって,その泡の周りを作っていた火山ガラスなのです.泡がたくさんあるのはマグマ中にあるガスが小さな泡だったということを示しています(必ずしもそうではない場合がある).泡が引き延ばされたような形のものは,小さな泡がたくさんある状態でマグマが冷えつつ引き延ばされたことを示します).こういう形のものがどんな量比で入っているかで,その火山灰の特徴になります.又,先ほど述べた鉱物についてもどんな鉱物がどれくらい含まれているかが火山灰の特徴になります.

地層中にある火山灰の意味
 火山の活動で火山灰が噴出され,拡散して,いろいろな場所に火山灰が降灰します.前回,火山灰は時間を示すものだといいました.これは同じ火山灰が離れた地域で見つかれば,それはほぼ同時に降っているので,同時間を表している,という話でした.同じ時間を見つける有効性は姶良−丹沢を見てもわかるように,本州全土や九州〜本州全体について有効なものもあります.では,同じ火山灰はどうやって見つけるのでしょうか?
 図火山灰にはそれぞれ特徴があります.その特徴をまず知ることが重要で,同じ特徴を持っている火山灰を離れた地域同士見比べて見つけていきます.層位というのは地層の積み重なり順序で,たとえば,似たような火山灰が離れた地域でどちらにも2層あったとします.これらの順序が離れた地域間で逆になっていれば,どちらかもしくは両方間違っているだろう,という事になるわけです.火山灰の特徴は前に述べたような,火山ガラスの形や鉱物の他にその火山灰の見かけ,化学組成など様々なものがあります.これらは一つだけで充分という訳ではなくて,いろいろなデータの中から矛盾がないように検討します.しかし,本当に特徴のある火山灰であれば比較的同じものを見つける事がやりやすくなります.火山ガラスは,屈折率が1.500付近のものが出てきても出現頻度が高いので,そのような火山灰はあまり特徴的ではないと言えます.それに対して,1.600あたりのものが入っている火山灰は特徴的だといえるでしょう.これは屈折率だけでなく,鉱物についてもあまり火山灰に含まれない鉱物が入っているとそれが特徴的な火山灰となり,同じ火山灰を見つける指標になります.
 このようにして,同じ火山灰を見つけ,離れた場所に分布する地層の同じ時間を見つける事が火山灰の意義の一つです.こう言った離れた地域の地層を同時間面でつなぐ火山灰を「広域火山灰」や「広域対比火山灰」と呼びます.古琵琶湖層に130程の火山灰がありますが,広域に対比されたのはまだまだ数えるほどしかありません.これからどんどん見つけていかないといけません.
 火山灰は離れた場所にある地層の同時間面を見つけると述べました.確かに,火山灰の研究は同じ火山灰を見つけること(火山灰の広域対比)で発展してきました.火山がたくさんあり,どこでも火山灰が降っている日本のお家芸とでも言える研究です.しかし,火山灰は火山の噴火で噴出されたものですから,火山の噴火活動も表しています.その様な研究も少しずつ進んできています.しかし,火山灰から火山の噴火活動を述べるためには,もっとたくさんのより詳細な火山灰そのものの研究を進めないといけません.また,より多くの地域で火山灰の研究をすることや同じ火山灰を見つけることもやはり必要なのです.というわけで,古琵琶湖層にある火山灰を知るためには古琵琶湖層の火山灰だけを調べていてもわからないということになり,他の地域の火山灰をも調べることも重要なのです.
 火山灰は噴火活動をも表しているのですが,火山灰は噴火活動によって拡散して,それがいろんな所に降って,地層中に取り込まれます.その取り込まれ方はいろいろです.火山灰が降ってきてそのまま残っている場合もありますが,周辺に降った火山灰もある場所に集められたり,降ったものが削られたりします.火山灰をもっとよく知るためには,その火山灰がどうやって地層中に取り込まれたかを知る必要があります.そのためにはどのような環境で,どのような地層が出来るのか?を知る必要があります.それが地層からその地層が出来た環境を知る,堆積学,という分野の研究です.その話は次回します.
 ところで,火山灰がどのように地層中に取り込まれたか?を知ることは2つの意味があります.一つは単純にどのような環境で火山灰がたまった(地層がつくられた,地層中に取り込まれたか)のかを知ることです.もう一つは火山灰そのものから噴火活動のこと(噴火様式や噴火規模とその環境など)を知るためです.たとえば,地層にある火山灰のどの部分が降ってきたものか,どの部分が流れてきたものか?また,どこから流れてきたのか?等を検討するためです.古琵琶湖層には五軒茶屋火山灰層という火山灰があり,これは大阪や新潟,房総半島などで見つかっています.古琵琶湖層で見ると,いくつかの降ってきた火山灰とその跡に流れてきた火山灰からなっていることがわかります.この研究から,この火山灰はどういう範囲に降ってどんな噴火様式で噴火活動をしたのか?が推測されています.また,流れてきた火山灰の部分には軽石が入っています.軽石はいくら遠くまで飛んでいっても数十kmくらいですから,推定されている噴出火山(岐阜県北部)から琵琶湖周辺に飛んできたとは思われません.この軽石はその火山灰の見かけから流れてきた事がわかっており,その元々の火山灰は,火砕流の火山灰が溜まったあとに,削られて運ばれてきた事がわかってきました(長橋ほか,2000).という用に同じ時間を見つけるだけでなく,火山の噴火活動や,その当時の地層が出来る環境を知る上でも重要なものであるといえます.

(c)satoguchi


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