不定期連載 日々迷いの記録(2014年) 



・2014年12月28日(日)

●年末

 琵琶湖博物館は今日まで開館していました.どれくらい人が来るのかな?と心配でしたが,来館者はわりといました.この年末でも来てもらえるほど,琵琶湖博物館は愛されているのかなと思いました.
 琵琶湖博物館では,琵琶湖博物館以外のところで,琵琶湖博物館を知ってもらうための展示として「移動博物館」というのをやっています.今まで,ショッピングモールとかいろんなとこでやっていました.今回は,年末年始に,大津の湖岸にある「大津プリンスホテル」で行うことになりました.今日,展示物を持って行ってきました.あちらには年末年始に宿泊される方が県外からたくさん来られているそうなので,展示場所は県内ですが,県外の人にも知ってもらうのにいいかと.1/5くらいまでやっていると思います.
 で,あけて,1月ですが,1月は2日から開館しています.今年度からの試みで,職員はだんだんお正月という気分がなくなってきました.まぁ,そういう職場なんだとあきらめるしかないのですが.日本はいつからか,正月,に働く人が増えてきました.コンビニ,スーパーマーケット,ショッピングモール,百貨店,そういうところです.ちなみに,水族館や動物園も結構早い段階からそうなってきています.琵琶湖博物館も水族部門があるせいかもしれませんが,さて,1/2にはどれくらいの人がくるでしょうか.広報はいろんなところで告知してもらったし,前述の大津プリンスホテルさんでもアピールしてくださるとのことだったので.さて,どうなることやら...
 今年もいろいろありましたが,まぁなんとか終わりそうです.来年は,企画展示もあるし,リニューアルもある予定だしと,博物館はいろいろとありますが,どうぞごひいきに.


・2014年12月20日(土)

●年末だけれどいろんな行事

 今年の琵琶湖博物館の年末休館はちょっと変わっている.12/14から一週間休館して,今日から28日まで開館.年始は1/2から開館.この寒いのに人は来るのかな?と疑問だけれど,学芸員がそんなことを思っていてはいけない.
 休館だった間に,年末の大掃除をしました.A展示室は12/17に.今年の私はちょっと違う.いつもは,大掃除の時に実験水路の掃除をするのだけれど,今年は前日にやった.なので,他の場所をすることができた.ちなみに大掃除はいつもは難しい場所に登ってやったりするので,やり始めはほこりがすごい.
 で,今日から年末の開館なのだけれど,冬の時期は来館者が少なくなるので,来館者サービスとしていろんなことを,ということで,いくつかのイベント.今日から午後1時半〜午後2時までトンネル水槽でサンタが降りてくる.魚のエサやりとか,水槽の掃除をしたり.この手のイベントは水族館ではよく知られたものだから,と思っていたのだけれど,来館者,特に小さな子どもは大変喜んでいた.あれだけ喜んでくれるのだったら,やってよかった,と思えると思う.ちなみに,手を振ったら振り替えしてくれる.子どもたちだけじゃなくて,カップルで行くところが見つからない,という人は,こういうところに来てくれても楽しめるのじゃないかな.
 もう一つ行事.今日と明日は,アトリウムでコンサートをやっている.いくつかの団体がやっていただけるのだけれど,写真は龍谷大学交響楽団の一グループ.今日は午後の約2時間だったけれど,明日は11時からばらばらとある.写真のように舞台もちゃんとあって,席が用意されているので,どうぞ来てください.ちなみに,明日(12/21)はふれあいサンデーの日なので,県内の家族は家族で来てもらったら無料になる.サンタとコンサートで,日曜を楽しんでください.それと,水族展示では,今はヒウオとビワマスの卵の展示をやっているので,こちらも是非.


・2014年11月28日(金)

●もう今年も終わりかな

 もう11月も終わりで,今年もあと一ヶ月ほど.毎年思うけれど,今年も早かったなぁと.思っていたことのほとんどを出来ていないまま,年を越してしまう.
 私は来年度の企画展示の担当に当たっているので,はやく,展示の構想を決めないといけないのだけれど,細かい点はまだつめられていない.まだまだこれから考えないといけないことが多い.あと,企画展示に合わせてやろうと思っていることもあるけれど,そういうこともまだまだできていないことが多い.それよりなにより,展示のために,論文化しておかないといけないことも多いのに,それもまだ.一つは査読から帰ってきたけれど,まだ返却できていない.それはまずいなぁ,と思いつつも,なんだかずるずるという感じ.
 以前にも書いたことがあるけれど,忙しい,なんてことはなんの理由にもならない.結局ほかのことをやって,それを後回しにしているというだけのことだもの.私の中で,研究するとか論文を書くということは,優先順位でいうと高いほうだと思うけれど,研究とか論文にまとめるというのは結構面倒な作業でもあり,自分をしっかり律していないとどうしても,博物館の仕事が忙しいということを理由にしてしまう.それは何度も言うようだけれど,理由にはならない.もうちょっと自分に厳しく,ということを年末を迎えて今更だけれど思い返してみる.


・2014年11月17日(月)

●視点・論点

 先日,NHKの番組「視点・論点」にでました.私がそういう番組に声をかけられるなんて予想もしていなかったので,びっくりなのですが,突然電話があり,琵琶湖の生い立ちについて話をしてほしいということでした.他の方はどうなのかわかりませんが,お話があってから結構すぐに原稿の提出と撮影がありました.というわけで,初めて東京のNHKにもお邪魔しました.
 7日に撮影のために渋谷へいき,基本的には自分で用意した原稿を読むという形での撮影で,今回はどうらんを塗るという初体験もありました.大津局とかでスタジオには入ったことがありましたが,自分一人で原稿を読むという,なかばアナウンサーのような体験も初めてでした.
 ちなみに,放送は11月12日(水)に行われました.
 渋谷局には,一般の方がNHKのことを知ることができるスタジオパークというところがあります.話には聞いていましたが,渋谷にあることも知りませんでした.博物館のなにかの参考になるかと思い,撮影が終わった後に見に行きましたが,放送局のことを知ってもらうための展示物ですので,なかなか琵琶湖博物館で使えるものはなさそうな感じでした.記念撮影ポイントを作っているとか,ハンズオンの展示を多用しているとか,そういうところは参考になったかな.

●イタリアの研究者が逆転無罪

 もうあまり話題になっていないかもしれませんが,2009年にイタリアで起こった震災について,2012年に行われた裁判の話です.これは,2009年のイタリアで起こった震災の時に,大規模な地震が起こる前の小さな揺れが増えていたそうで,それについて,専門家委員会が間違った予測をしたことによって,多くの死傷者がでたことへの責任として,地震学者や地震工学者などの専門家6名と,行政の人1名が6年の禁固刑という実刑判決があった裁判です.この裁判結果に対して,控訴審では逆転無罪の判決があったことが,Scienceの2014年11月14日号にでていました.それによると,専門家の6名は無罪判決で,行政の人は執行猶予ありの2年の禁固刑だそうです(英語が不得意なので行政の人の判決は間違っているかも).
 この裁判結果が出されたときに,多くの研究者,というか学会などが声明をだしていた,ということを覚えています.学会などが心配していることは,こういうことが起これば,科学者はだれも発言しなくなる,また,社会に有益な情報も流すことができなくなり,科学の発展が妨げられてしまう,ということだったと思います.
 あらためて,この裁判のことを調べると,科学者が訴えられたのは,予測が間違っていたから,ではなくて,危険を最大限回避できるような努力をしたかどうか,ということが争点になっているようです.きちんと科学的な手続きに則って,現在科学で理解できることや予測できることをすべて検討したか?危険な状態をきちんと市民に伝えていたか?さらに危険になる可能性について市民に伝えたか?などのことらしい.このことについては,日本の地震工学会の声明文によれば,研究者はやることをきちんとやっていたが行政側がそのことを怠っていた可能性が見受けられます.今回の裁判結果は,地震工学会の見解に近いものだと思います.もっとも,震災の遺族の方々などは,この判決に不服として上告するようです.
 研究者の役割はなかなか難しいものです.発言が許される,または,発言が求められる立場の研究者であれば,その時の科学の限界付近でわかることを,わかりやすく伝えるということは必要だと思います.そういう人たちは,医者と同じように,その時にできる最大限の努力をしたか?ミスはなかったか?というのが事故のあとには検証されるのはあるのかなとは思います.けれど,多くの研究者はそういう発言を求められることが少ないです.危ない,と思っていてもそれを伝えることは出来ません.私の場合,まだ地域の人びとと接することがあるので,質問に来た人には私のわかる範囲ではお答えしています.マスコミに対しては,そういう災害のことでコメントを求められることがありませんので,しません.研究者という職業がどういう立場なのかを考えさせられるニュースだなと思います.


・2014年10月23日(木)

●超巨大な火山噴火

 珍しい頻度での書き込みだ.と自分でも思うのだけれど,昨日と今朝,気になるニュースをやっていたので.
 私は,琵琶湖博物館では琵琶湖がどうやって出来たのか?を追求している訳ですが,本来は古琵琶湖の時代の火山灰の研究をやっています.で,このあたりの地層中に見つかる火山灰層というのは,どれもがかなり大規模な火山噴火によってもたらされたものです.写真は,滋賀県にある175万年前の火山灰層ですが,崖の削ってある所より,上の部分は全部火山灰で出来ている地層なので,ここで見えるだけでも3m以上の厚さがあります.この火山灰層の場合,昨日のニュースでやっていたような,九州からくる訳ではなく,北アルプスの火山だと考えられていますから,九州よりはだいぶん近くて,火山灰の降ってくる量も多くて比べものにならないのだけれど,それでも降った量だけで言っても全部で50cm以上はある.それより上の部分は,火山灰による土石流によって(つまり洪水)たまったと考えられる部分です.
 火山灰の研究をやっていると,数百万年前から,平均して1万年〜数万年に一回くらいの割合で,こういう大規模な噴火をしていることがわかる.野外の地層中じゃなくても,現在の琵琶湖の底にたまっている泥をみても同じように,たくさんの火山灰層があることがわかる.このことは,この分野の研究者の間ではよく知られた事実で,昨日の神戸大学の先生が言っていた想定していた噴火は,Aso4火山灰と呼ばれているもので,それは琵琶湖の底にもたまっている.
 研究者としては,そういう危険性があるから,それに対する対応をするためにも,研究やその研究をする人を育てる必要性を言いたくなるのだけれど,こういう噴火が本当に起こった場合には,どうなるのか,と思うとかなりぞっとする話で,いろんなことがわかったからといって,どうしようもない部分もある.例えば,今回の話の規模の噴火が起こると,テレビでは,火山灰が降ってくる量とか,火砕流の範囲だけしか言っていなかったけれども,ちょっと降灰するだけでだめになる電子機器の問題とか,火山灰が降った後の土石流とかの洪水の問題とか.問題の範囲が広すぎて.たとえば,2011年の東北の地震でさえまだまともに復旧できていない地域も多いのに,この規模の噴火が起こると,被害を受ける範囲は日本の半分以上の地域はたぶんかなりのダメージを受ける範囲になるのだろうと思う.もちろん,事前の予知とか出来ていれば,少なくとも,火砕流に巻き込まれる地域の人がその場から逃げることは可能になる.けれど,その人たちは,おそらくその人たちが生きている間にもといた場所に戻っても何もないという状況になると思う.だから,移住計画なども考えておく必要があるのじゃないか,とか.問題が大きすぎて,対処のしようもない,という感じもある.そういうことを本当にわかった上での説明だったというようには,テレビの説明については,そう思えなかった.
 私たちの今の文明がある間に起こるのかどうかは,本当のところわからないのだけれど,わかっているのは,いずれは必ず起きる,ということ.今回の話も,あまりまとまりがなくて落ちもない.思いつきで書いただけです.それにしても,昨日書いた話も,超巨大火山噴火による火山灰の話だから,最近は火山とか火山灰づいているな.

●県の石,募集締め切り近い

 日本地質学会が,10月末日締め切りで募集している県の石提案募集はもうすぐ締め切りです.地質学会が人知れず県の石を決めてしまわないように,とりあえず,滋賀県とか琵琶湖博物館に関わりのある人には声をかけて(ニュースレターを臨時発行して),里口まで提案を送ってもらうようお願いしています.今のところ,電話での問い合わせが一人あったのと,メールでの提案が5件ほど.本当のことをいうと,もっと集まることを期待していたのだけれど,地質学会が決める,という程度ではみなさんそんなに関心がないのかな?「勝手にやったらええやん」ということなのかも.まぁ,何にしても,少数だとしても意見をもらえたのは感謝です.
 ちなみに,私は地質学会の滋賀支部幹事なので,どちらにしても,意見をまとめて,私からの意見も学会にあげる必要があるのです.どれか一つだけに絞ってというのは本当に難しいです.
 なお,滋賀県の石,提案は,地質学会には10月末日が締め切りですが,里口に提案を送ってもらうのは,10月24日を締め切りとしています.忘れてた!,という人は,早急に送ってくださいませ.滋賀県在住でない人も,滋賀県の石,提案をしてもらうのは歓迎です.よろしくお願いします.


・2014年10月22日(水)

●調査から帰ってきた

 調査から帰ってきました.当たり前の話ですが,帰ってきたら早速広報仕事がたんまりとあり,いなかった間にたまっていたものや,調査の後片付け(すぐにやっておかないと忘れてしまうものなど)などでまだしばらくばたばたしそう.
 今回の調査の目的は,古琵琶湖層群にもある超広域火山灰について房総半島と新潟地域での調査だったのですが,もちろん,それぞれの地域にある全部のものを調査できるわけもなく,超有名(あくまで私たちの間で,という意味ですが)なものについて行うということでした.これは今やっている科研費(海底堆積物と陸域をテフラで結ぶというちょっと途方もないもの)のものでもあるし,もちろん,琵琶湖博物館の研究でもあるし,今回採取した火山灰の試料は,来年の企画展示でも立派に展示物として使用するものだから,いろんなことにからんでのもの.
 それにしても今回の調査は,自分でもちょっと無謀だなと思うほどきついものだった.けれど,自分にとっては,前述の目的以外にも感慨深いものがあった.房総半島の調査地(写真)は,私が大学の卒論の時から大学院生にかけて,なんどとなく通った場所です.卒論の時は,本当にいろんな意味でつらかった場所で,それこそ,毎日の調査中に「明日帰るっ!」と思っていたようなつらいところだった(詳細は省きますが).けれど,そのことがあったから,今の私があるわけで,私が立派な研究者になっているか,人としてどうか,は別にして,今もこうして研究をつづけていて,博物館で,地学のおもしろさを世の中に伝えようとする仕事をしているというのは,紛れもなく,房総半島の調査が出発地点,といえると思う.そういう意味では,今回の調査は,「原点に返る」調査だったりもするわけです.調査をしながら(実際には調査場所というより調査場所へいく通り道),あのときは堂だったとか思い出すこともいろいろ.調査地での不思議な体験とかも,自分の研究者としての原点に立ち返ったような気がしました.そんな感じで調査を終えて,こちらへ戻ってきたので,改めて博物館の仕事をがんばろう,と思った訳なのですが,現実にたくさんの広報仕事を目の前にすると,そういう気持ちもちょっと....何にしても,いろんなことを思い返させられた調査でした.


・2014年10月14日(火)

●調査

 本当は昨日から調査に行っているはずだったのだけれど,台風の影響で延期.で,明日から調査です.調査場所は,房総半島と長岡(新潟の)あたり.私のことだから,火山灰の調査だろうと思った人は正解です.今回の調査は,というか,だいたいそうだけれど,古琵琶湖層群と同じ時代の地層中の火山灰調査.広域対比などに関係している.で,どちらの地域もそうだけれど,来年の企画展示にも関係している.
 琵琶湖博物館の企画展示は,研究成果の発信でもあるので,琵琶湖(地域)の価値を再発見するような研究の成果を企画展示に使う.もちろん,研究成果だけで面白いものになるに超したことはないのだけれど,もう少し工夫が必要.ちなみに,来年の企画展示は私が担当で,地学の関係者が手伝ってくれる.基本的には琵琶湖の生い立ちについてのことをメインにするのだけれど,古琵琶湖やその周辺にいた生き物を化石で紹介するとか,私のメインの研究である火山灰の展示などもある.今回の調査は,そういった火山灰の資料集めも兼ねている.
 房総半島は,私の大学院生時代のメインとなる研究地域だったわけだけれど,機会ある毎に調査へ行っている.それは,古琵琶湖層の時代では,日本の重要な場所だから.もちろんそれは火山灰の研究についてもいえることです.というわけで,必要なことができると(だいたい数年に一回くらい)調査へ.今回は,地元の研究者が同行する場所もあるので(一人で調査することが多いけれど),大学院生の時のようなつらくしんどい調査だけではないかも.まぁ,私の調査はだいたいつらくしんどいものなのだ.とはいえ,野外の調査に行けるのはそれなりに心持ちはよいです.調査は来週の月曜日まで,その間はネット環境のない場所にいるので,メールなどの確認はできないでしょう.


・2014年9月28日(日)

●火山噴火

 私の研究は,おおざっぱに言えば,地層から過去の環境を復元したり,環境変動を明らかにするというようなことだ.だから,博物館での仕事は,過去の琵琶湖環境や環境変遷を知ることにある.もう少し大きな視野でいうと,そういう古琵琶湖の時代の地層から,日本列島付近の環境をしることも対象になっているのだけれど,元々の私の専門分野は火山灰層を使った研究なわけで,その興味は過去の火山噴火活動もある.
 地学や地質学自体があまり世間一般的でないと思うのだけれど,地質学の基本は現在環境をよく知る,ということにある.過去の環境を地層から知るためには,現在の環境とそこでできている地層をよく知っておかなければ,地層から過去の環境をイメージすることはできないと思う.それと同様に,火山灰を使って過去の火山噴火活動をイメージするには,やはり現在の火山をよく知っておく必要がある.
 前置きが長くなったけれど,つい先日,御嶽山が噴火をした.今回の噴火は,気象庁などによると,少し前から微動があったりして,それが噴火に結びつく物かどうかはわからない程度の,ちょっとした異変はあったのだそうだ(ニュースでちらっと話していたのを聞いただけだから,間違っている情報かもしれません).今回の噴火によって,死者がでたりけが人が出たりしているので,私もあまりうかつな行動ができませんが,噴火があると火山噴火というものをよく知るきっかけにはなります.今朝のニュースで荒巻さんがコメントをしていたけれど,荒巻さんの考えは,水蒸気爆発とのことで,マグマの関与の可能性は低いだろうとのことだった.確かに噴煙は,白っぽい色だし,火砕流と言われているものも,下る速度が遅いので高温のマグマを伴っているとは考えにくいのだろうと思う.マグマが上がってきたことによる噴火でないのであれば,これから継続的な噴火ということはないのだろうと思うけれど,火山は難しいので,本当に収束していくのかどうかは今の段階ではわからない.むしろ,噴火の映像や,今回噴出した火山灰をよく調べるということが重要なのだろうと思う.私自身も今回の噴火の火山灰を見てみたいと思うのだけれど,今は私のような底辺の研究者がいくと邪魔になるだけだから,収束していくことを祈りつつ,邪魔にならないようになったら,採取も考えてみようかなと思う.何にしても,地質学は,地震とか土砂崩れとか自然災害を伴う自然現象に関わっていることがほとんどなので,現世で起こる現象をみるというのは心持ちはあまりよくないです.今回の噴火でなくなられた方のご冥福を祈ります.また,けがをされた方がはやく元気になられますようお祈りいたします.


・2014年9月2日(火)

●イオンモール草津の展示

 数年前に博物館から車で10分くらい南にいった所にイオンモールができたのですが,その1Fのレストラン街の一角に「エコステーション」というところがあります.そこは,イオンの環境に対する取り組みを紹介するコーナーなのですが,いろんな縁で,琵琶湖博物館の紹介と琵琶湖の環境に関することを紹介するコーナーを設置してもらえました.去年までは,そこで琵琶湖の魚を生体で紹介していたのですが(いわゆる水槽でかっていた),今年からはいろんな展示をすることになりました.その第一弾として,古琵琶湖層群の化石(要するに,過去の琵琶湖の生物)とそれに近い種類の現在の琵琶湖の生き物を紹介する,ということをしました.担当は私と松田さん.
 まぁ,基本的には琵琶湖の生態系を紹介するコーナーではあるので,生き物に絡めてなにか,と考えてきたのですが,今回は「滋賀県の鉱物」の展示です.今日から.琵琶湖の生態系,を考える上で,地面,も大事だろう,というのが私の考えなのですが,まぁ,正直なところ,滋賀県にきれいな水晶とかでるし,そういう広い意味でも自然環境を知ってもらうのはどうかな,と思って.本来は生物,ということもあって,ちょっとした試みではあるのですが,今回のことで評判が悪ければ,また別なことを考えます.というか考えないといけない.次のネタとしては,秋はドングリかなぁ,なんてことを考えています.
 琵琶湖の生態系,とかいうとどうしても琵琶湖の中だけになってしまい,魚かなぁ,ということになりますが,それ以外にも目を向けてもらいたい,というのは博物館的本音ではあります.さてどうなることやら.それにしても,最近,他の場所の展示ばっかり作っている...


・2014年8月28日(木)

●東京ドーム

 小笠原諸島の西之島で新たな動きがあるようで,北側の火口に盛り上がりがあるとの報道があった.溶岩マウンドと呼んでいるらしい.
 そういった報道の中で,現在の西之島はかなり大きくなっているらしく(溶岩の流出のために島の面積が広がっている),その大きさを伝える表現として「東京ドームの26倍」という伝え方がされていた.「東京ドーム」を広さや体積の単位として報道などで使われているのを耳にするたびに,報道を見ている人のどれだけの数の人がその単位を理解できるのだろう?と思う.理解できない一人として私.私は東京ドームを見たことがないので,東京ドーム○こ分,とか言われてもさっぱり大きさがつかめない.
 では,報道で使うべき単位はどういうものなのだろうか?だれもがその大きさをイメージできて,ある程度単位としてふさわしいような大きなもの.滋賀県にいると,琵琶湖,を単位として考えがちなのだけれど,これも東京ドームと同じで,特に関東〜東北の人はその大きさが理解出来ない.日本一大きい,という情報は知っていても,どれくらい,というのはやはりよく知らないのだそうだ(私の知り合いに聞いてみたところ).そう考えると,意外にみんなが知っているもの,イメージできるもの,というのはなかなか難しい.どれを選んでも,全員が,とならないのだったら,東京近辺で有名なものを使うのが無難か.
 ちなみに,現在の西之島は「東京ドームの26倍の広さ」なのだそうだ.東京ドームはネットで調べると,面積単位としては建築面積の46,755平方メートルを使うのだそうだ.これの26倍だから,約120万平方メートル(約1.2平方キロメートル)ということになる.滋賀県の人にしかわからないでしょうけれど,琵琶湖の沖島はだいたい1.5平方キロメートルくらいなので,それよりちょっと小さいくらい,とイメージすればいいことになる.もちろん高さは違うけれど.沖島くらいと考えると,結構でかいなぁ〜,と思う.
 それにしても,東京ドームがどれくらいかは別にして,それの26倍もあるんだったら,そのイメージはかなりつかみにくいと思うのだけれど,どうだろう.ちなみに,琵琶湖博物館は敷地面積(屋外展示も含めるのだと思う)が約42,434平方メートルなので,東京ドームよりちょっと小さいくらい.


・2014年8月22日(金)

●まだまだ暑い

 気がついたらいつものようにもう前回から1ヶ月たっていた.はやいものだ.夏休みに入ってからというもの,休みがほとんどなく,連日イベントや広報対応に追われて,全く世間ずれをしている.まぁ,そういう職場だからしょうがないといえばそうなのだけれど,職員として保証されている休みとは一体何だろう?と思うような毎日でございます.もし,学芸員になりたいという人がいたら迷わず,あまりおすすめしない,と言うだろう.
 さて,だいたい毎年このくらいの時期に私がはいっている学会の大会があるのだけれど,今年は9月に入ってから.9月はもう一つの学会大会があって,そちらは例年通りの時期だから,ほとんど連続的に2つの学会がある.それぞれに違う内容で申し込んでいるのだけれど,だいたいの内容は出来ている物の,発表準備(図とか)はまだまだこれから,という,こんなことで大丈夫なのかな?と思う.
 私がやっている研究は,もうずっと「琵琶湖の作り方」なのだけれど,まだまだわからないことだらけ.今日の会議でその話を少ししたのだけれど,今後の展示替えとか,来年度予定している企画展示でも,今までの琵琶湖のおいたち感を少し違った方向から紹介したいと思っている.ただ,それは,今のところ私の考える仮説であって,仮説の段階でも,本来は学会とかある程度認知されてから展示に反映させるべき物なのです.けれど,来年の企画展示って今頃そんなことをいっていて間に合うのか?(いや間に合わない)という状態です.それは,今の状態では論文を書いたりも難しいという状況ということも関係している.
 そんな愚痴めいたことをここに書いている暇があったら,火山灰の一つでも同定しろよ,ということだけれど,本当にもっとがんばらないといけないなぁという,日々反省の毎日です.まったく人生は反省することが多い.
 とりあえず,古琵琶湖の始まり,を書いた論文はあと少しがんばれば投稿できる(と思う)ので,それからがんばるか.


・2014年7月20日(日)

●地域の人コーナーの交流

 ここ数日分のものを,一気に書いていますが,しばらくずっとここへの書き込みができていなかったことに今更ながら気になったので,ここ数日にあったことをまとめています.といっても,そんなに更新されることを楽しみにしている人もいないとは思いますが.
 もうなんども紹介しているので,説明は不要と思うけれど,常設展示のA展示室では,地域の人の集めてきた化石や鉱物で,地域のおもしろさを紹介しようとしています.また,その人たちが何に興味を持っているのか?ということも.今は,足跡化石についての展示で,岡村さんが代表をつとめる足跡研究会が展示をしている訳なのですが,その展示以外にも,地学のおもしろさや,この地域の地学的なおもしろさを伝えるような活動として,地域の人が展示室でお話をしたりしに来てくれます.地域の人とは,今のこのコーナーを試験的に行うのにつきあってくれている,湖国もぐらの会の人たちです.今日は,鉱物のことをやっている方が夫婦できてくれました.朝から準備を始めて夕方まで.ずっとです.本当に毎回頭の下がる想いです.他にもそういった,面白さを伝えるために展示室での活動をやってくれる人が何人かいますが,そういう人たちは,楽しんでやっているから,とおっしゃってくれます.なので,こちらもそれに甘えてしまっているのですが,私がそういう人たちになにをできているのだろうか?とよく思います.みんなが楽しんでもらえる博物館になればいいな,とは思いますが,そのために何をすればいいのか?は,いつも悩むことです.

●自分の研究を伝えることの難しさ

 このページはほとんど読まれていない,ということを前提に書こうと思いますが,今回は愚痴とか批判ではなく,難しいなと思っていることを書いているつもりなので,関係者かな,と思う方は誤解なきようにお願いします.といっても,たぶん誰も読んでいないと思うけれど.
 今年は広報担当をしているのですが,その関係で記者さんへの対応をする機会が多いです.別の用件で来られた記者さんが,私の研究の質問をするので詳しい話を始めたのですが,疑問が拡散しはじめたので,話を戻しつつ説明をすると,なぜそういう考え方になるのか?という疑問が当然のごとく出てきました.私の研究についての質問というのは,過去の地形とか,琵琶湖の環境というものですから,そういうことが世間的に一般的でないので難しい,ということは私も把握しているつもりだったのですが,全く通じないのです.それで,結局,私の話を理解したいがための質問なのか,私の考えを論破したいのかよくわからない状態になったので,そんな風にまだ結果の出ていない研究なのです,とお茶を濁して終わったのです.
 もちろん,私の説明能力の問題はありますし,私の研究能力の問題もあるので,なんともいえないのですが,自分がやっている研究の説明がいかに難しいことかを思い知らされました.この記者さんのもっているバックグラウンドを私は知らないのでなんともいえませんが,おそらく,この方の発想が一般的なのでしょう.ですから,こういう方を納得させられないということは,この手の話で展示をつくっても,見ている人は消化不良を起こしてしまうだけだなぁと,その記者さんへ説明している最中に思っていました.私が相手にしているのは,そのことを知りたい勉強熱心な人でも,それを勉強しなければならない人でもなく,わかりやすい説明を簡単に知りたい人たちで,なおかつ,簡単にわからないのだったらすぐに興味を失ってしまう人たちなのです.それは,自分が異分野のことに接した場合におきる現象なのでよく理解できます.
 なぜ,そんなことを今更ながら思っているかというと,来年の企画展示は私が担当することになっているから,ここんとこ,展示の内容を考えているからです.基本的には,びわこの作り方,の展示をしようと思っているのですが,その考え方とか,まだ謎に包まれている話もいれたいと思っています.けれど,この話のようなことが起きるのだな,と思うと,あまり研究っぽい話(や,考え方の話)は表に出さない方がいいな,と思うのです.昨日の話ではありませんが,琵琶湖博物館の来館者層と,一般的な興味や理解,についての現実をもっと知っておく必要があるな,と思います.
 ちなみに,数百万年という時間オーダーの中での地形変化とか,については,博物館にいる他の分野の人,たとえば生物地理をやっているような人,にもなかなか通じにくいです.これはもう,私の能力不足なのだろうなと思います.学芸員をやめた方がいいんじゃない?という天からの声が聞こえてくる今日この頃.


・2014年7月19日(土)

●企画展示のオープニング

 企画展示が今日からはじまりました.同時に水族企画展示もはじまったわけですが,いつも,企画展示のはじまりはオープニングセレモニーがあります.お世話になった人を来賓に迎えてということなのです.だいたいは,挨拶とかとテープカット.その後は,展示の説明を担当学芸員がするという流れに.
 今回の展示は,ちょっと大人向けな感じです.琵琶湖博物館の来館者層を考えて,小さい子どもでも楽しめるようなコーナーも作っているのですが,国際比較というものなのと,生活を中心とした展示なので,どちらかといえばやはり大人向け,という感じです.といっても,展示はよくできていると思いました.展示物も見応えがあるものですし,パネルの配置とか,数とか,いろんな工夫をしているなと感じます.ただ,それは関係者目線ですから,琵琶湖博物館の来館者層で,また,企画展示をやっているという広報力のない琵琶湖博物館という状況を考えると,ちょっと分が悪いですね.今後の広報(って担当は私だ)をうまく考えないと.せっかくよい展示なのだから.
 琵琶湖博物館が民間企業であれば,教育目的といいながらも,利潤を求めることが第一なので,来館者層を考え,そういう来館者層の人たちにチケットを買ってもらえるような内容を中心に考えなければいけません.琵琶湖博物館の場合,小学生以下の子どもたちを中心とした家族が中心です.もちろん,大人だけでの来館もありますし,若い世代のカップルがくるということもあるのですが,中心は,というとそうなってしまう.そういう人たちに,と考えると,子どもに興味を持ってもらえて,子どもが入りたいと親に言うような内容ということになります.私の分野だと,アンモナイト,三葉虫,恐竜,マンモス,のどれかの化石展示であれば,入ってもらえる可能性が高いだろう,というような展示の企画を考えることになるでしょう.
 けれども,ここは琵琶湖博物館なのです.琵琶湖博物館は「湖と人間」について紹介し,その未来をみなさんと一緒に考える,という目的があります.琵琶湖のことを考えるのに,昔のことはかろうじて湖の生い立ちが関係しますが,前述の化石で琵琶湖の周りででるのは,かろうじて三葉虫だけです.
 もっとも,だからといって人が来なくてもいいわけはありません.たくさんの人に興味を持ってもらわないことには,紹介もできないし,考えてももらえません.ではどうすればいいのか...これはもうず〜〜〜〜〜〜と考えてもうまくいかないことですね.やはり,楽しいことが重要なのでしょうねぇ.


・2014年7月16日(水)

●琵琶湖調査

 昨日と今日は,琵琶湖の調査へ行きました.ここ数年,琵琶湖の湖底堆積物の研究を早稲田大学の先生と一緒に行っていますが,その一つです.天候を心配していたのですが,昨日はほぼ無風に近く,今日もお昼過ぎくらいまでは大丈夫でした.お昼を過ぎたあたりから風が出始めて,波がちょっと荒くなってきたので終了.天気があまりよいと午後から風がきつくなるので,天気がよすぎるのも問題.戻ってきたら,結構焼けていたようで,どこかにレジャーへいったようになっていた層です.なのですが,私は昨日から腰を悪くしてしまい,自分の調査もあまりままならない状態で,ほとんど芳賀さんとか他の同乗者に頼りっぱなしでした.こういう時はつらい...なんにしても,船の調査はそうしょっちゅうできるわけではないので,無事終わってよかったです.早稲田大学の先生の調査も今回はうまくいったので.
 ちなみに,写真は調査中に見かけた,エリにとまっているカワウの軍団.おそろしや...


・2014年5月4日(日)

●地域の人コーナー

 今日は質問コーナーに座っている.例年ゴールデンウィーク後半は,来館者数が結構あって,展示室は賑わっている.それに対して,質問コーナーというか図書室には人は少なめでわりと静かな環境.といっても,質問は結構あるのだけれど.
 ここ何年かやっている,A展示室の地域の人びとの展示コーナーは,一緒に試験的な展示をやってくれている湖国もぐらの会の人が時々きて,展示の解説とか,化石や鉱物のおもしろさを伝える様なこととか,フィールドのおもしろさとかの話をしてくれている.今日はそういう活動をしてくれた日で,5人の方がきてくれた.ゴールデンウィーク中で展示室が賑わっていたし,そこに人だかりができていたりして,今日だけのスペシャルイベントだけれど,こういう展示室の雰囲気はいいなぁ,と個人的には思っている.これからの琵琶湖博物館の方向性の一つかなぁ,なんてことを勝手に思っている.といっても,今日来てくれていた人たちは,自分たちの面白いと思っていることを展示室で活動してくれている訳なのだけれど,こちらから謝礼を払ってきてもらっている訳ではない.けれど,ゴールデンウィークとか夏休みにきてくれたりする.全くいつもながら頭の下がる思いです.私ができることというのは,そういう人たちが博物館を使いやすい場所だと思ってもらえるようにすることだ,と思っている.こういう企画というか活動の中で,本当にやってよかったと思えるのは,やってくれている湖国もぐらの会の人たちが,そのことを楽しんでやってくれているということ.そういう人たちがいないと,たぶんこういうことはできない.

●学会参加

 4月の終わりあたりは多賀町の発掘調査に少し参加して,その途中から学会に行った.多賀町の発掘調査は去年からやっているもので,20年ほど前にアケボノゾウのほぼ一体分の化石が出た場所をもう一度発掘調査をするというもの.私の担当は地層の調査なので,一人でずっと地層を見ていた.もう私の担当部分は終わっているようにも思うけれど,発掘されていくと新たな地層が出てくるので,その観察と記載が中心になる.まぁ,何やらかんやらでやることは結構ある.
 その調査を途中で失礼して,学会へ行った.今回参加した学会は,日本の地球惑星科学系の学会が集まって作っている連合学会で,いつもはこの1ヶ月後くらいにやっていたのだけれど,今年はゴールデンウィーク中だった.私は毎年この学術大会には参加していないのだけれど,今回は関係するセッションがあったので,発表する為に参加をした(だいたい学会に行くのは発表のため).例年この大会に参加しない理由はいくつかあって,一つは参加費が高いこと.これは国際学会ほどまでは行かないにしても,日本で行われている他の学会に比べればべらぼうに高い(会員でも16000円だ.これに発表費がさらに必要).
 これは,会場がいいところでやるから,というのもあるのである意味しょうがないのだけれど,問題は,それに見合うだけのものかどうかという点だと思う.もちろん,毎年かなりの数の人が参加するし,発表数も多いので,それだけの価値を感じている人が多いといえる.参加している人の多くは,基本的には地球物理系の人か,気候変動をやっている人などが中心なので,そういう人は,過去と現在をつなぐとか,いろんな意味で分野横断のことが可能なので,メリットを感じていると思う.けれど,純粋地質学に近い位置にいる私はあまりメリットを感じていないというのは本音.
 とはいえ,あぁいう場は,世界の研究に位置している人がたくさんきていたりしていて,そういう人たちの発表を聞いたり,ポスターセッションで議論をしたりしていると,いかに自分が全く駄目かということを思い知らされて面白い.博物館の中で,日々の仕事に追われて研究が進まない,なんて愚痴を言っている場合ではないな,というのを感じる.それは,今回の大会に限らずどの学会に行っても思うことでもある.もっとがんばらないとな,と.


・2014年4月20日(日)

●NHK生中継は無事終了

 今日のNHKの生中継は,大きな混乱もなく無事終了しました.右の写真は観覧席がオープンする前の待っている人の列.すぐに埋まったそうです.でも,心配していたほど来館者はなく,アトリウム周りの人の流れも,NHKのスタッフや館内の展示交流員や学芸員のおかげでスムーズに流れていたようです.ようです,というのは,私は中継中はステージにいたのでわからなかったのです.私がテレビでどんな様子で見えていたのかはわかりませんが,番組もうまく進行されて,だいたい予定通り進んだようです.番組を見ていない人に,どういう番組だったかを説明すると,NHK大津局が今年度は琵琶湖を取り上げて盛り上げていこうということのはじめの第一歩企画というような感じで,「なに?なぜ?びわ湖」という1時間5分番組を琵琶湖博物館から生中継として行うもので,県民からのいろんな疑問に4人の専門家が答えるというものでした.私はそのうちの琵琶湖の生い立ちの専門家として出たのです.それぞれの担当の質問が決まっているものと,ファックスで受け付けた質問に突然答えるということがありました.ファックスで答えるものはほとんど私は答えませんでしたが,本当のことをいうと,だいたい答えられそうだったのですが,もっと詳しい人がいるので,私は言葉を発しなかったというところも...まぁ,元来引っ込み思案なもので...
 ゲストは,さかなクンさんと田名部生来さんでした.やはりゲストにこういう方々がいるとステージは華やかになりますし,進行も大変明るい感じになっていましたね.やっぱりプロは偉大だと思いました.あぁ,もちろん,司会進行をしてくれていた高鍬アナウンサーも進行がうまいということもあるのですが(なんせプロなので).こういう方々が,琵琶湖の疑問とかを取り上げてくれると,多くの人が興味をもってくれるしいいですね.
 と,NHKのスタッフの方々,お疲れ様でした.今年は琵琶湖のことをいろいろと取り上げてくれるそうなので,博物館をどうかごひいきに.博物館の関係者もお疲れ様でした.それから,中継を見に来てくれた来館者の人も,中継をみてくれた視聴者の方もありがとうございました.それと,これからもよろしく.


・2014年4月18日(金)

●気持ちの整理が付かない

 リニューアルの担当から離れて,昔やっていた広報担当に戻った.琵琶湖博物館には30人くらいの学芸員がいるので,毎年担当が変わったとしても30年に一回しか回ってこないはずなのだけれど,まぁ.広報担当はなかなか大変(特にこの時期は)なので,他の担当が免除されることが多いのだけれど,他にもいろいろ.で,来年度は企画展示をするという担当になっているので,計画をしないといけない.企画展示でやりたいことがあるのだけれど,それをやるためにはまず,今持っている研究成果をきちんと論文にしないといけないのだけれど,それもとうていできそうにないという状況だから,正直今は困っています.というわけで今回のタイトル.
 それでも,忙しいのは自分だけではないし,広報はやりがいのある仕事でもあるので,どうやって自分の気持ちの整理をつけるか?ということが問題.忙しい時に,人間はどうしてもマイナス思考に陥りやすいし,ともすれば,自分の状況を人のせいにしてしまいがちだ.それは,だれもがそういうわけではないと思うのだけれど,どうも私にはそういう傾向がある.私は研究,とくに地質学という分野の研究に身を置いている.そういうところでも,優れた研究者をたくさん見てきた.そういう研究者の多くは,学会の仕事とか,自分の属している職場でも結構な位置にいて,たくさんの仕事を引き受けているし,外部から頼まれる委員とかの仕事もたくさん持っている.そういう人たちを見ていると,そういう忙しいという状況を半ば楽しんでやっているようにも見えるのです.たぶん,仕事に対する接し方というか,考え方がその人にとってプラスになるような考え方をしているのだろうと思う.自分の中での気持ちの整理がきちんとできているということだ.私は忙しくなってきてマイナス思考をしだすと,意識的に「これではいけない」と思い「この状況を楽しもう」と考える.もっとも,そんな感じできちんと考えられるようになることは難しいのだけれど,本当に仕事がよくできる人というのは,それを意識的じゃなくてできる人なんだろうと思う.私は,自分ができる人間だとは思わないけれど,同じ人間として生きていくのだったら,しんどいとばっかり思わないで,その状況を楽しめるようにいたいなと思う.その道はなかなか険しいけれど.
 さて,そんな中で,今週末というか次の日曜日にNHKの生中継が琵琶湖博物館であります(ただし,滋賀県地域の放送です).私は広報担当として,NHKの担当の方とやりとりをして,館内での調整とか,当日の対応をどうするかという相談をいろんな人としています.で,問題は,当日の出演者にもなっているというところ.琵琶湖のでき方とかについて回答をするという役割です.さて,どうなることやら.大変な賑わいになることが予想されますが(ゲストが有名な人だから),そういう状況を楽しめたらいいなぁ,と思います.


・2014年4月3日(木)

●地域の人びとの展示の展示替え

 新年度になった.今年度は,去年度までやっていたリニューアルの関係からは外されて,別のところになった.というか,もとに戻ったというか.忙しいであろうことには変わりがない担当だ.正直なところ,もういい加減に別の担当にしてほしいと思うこともあるけれど,我々はサラリーマンなので,これをせよ,と命令があればそれをするしかないのです.いやならやめるしかない.と,まぁ,そんなことをいいつつも,担当部署というのは,学芸員の仕事のほんの一部(といってもほとんどの時間はそれに取られる)で,学芸員であるが故の仕事,展示とか資料整備とか研究とかその他もろもろ,は今まで通りやるので,まぁ,それが救いだろうか.
 さて,その救いである展示の仕事.A展示室の地域の人びとによる展示コーナーの展示替えをしました.
 前回の予告通り,今回は,滋賀県足跡化石研究会によるものです.展示替え,といっても,標本とかアイデアとか,伝えたいことは全部地域で活動する人たち(湖国もぐらの会)がやってくれるわけで,私は博物館の調整とか,ちょっとしたお手伝いだけ.そういう博物館を使ってくれる人たちで成り立っているなぁ,といつもそう感じる.足跡化石研究会というと,代表の岡村さん(いつもお世話になっている)が,という感じだったけれど,今回は,何人かの人が関わってくれている.今日の展示替えも岡村さんをいれて3人できてくれた.この人たちが本当に熱心で,頭が下がります.
 展示はというと,足跡化石とか,それを研究するための比較標本としての,東南アジアとかの動物の足跡型が並んでいる.これが結構面白い.で,今日の展示替えを手伝っていて思ったのだけれど,生き物とかをやっている人は本当に展示をやっても展示っぽくなるからいいなぁ,ということ.実は,私は来年の企画展示を担当することになっているのだけれど,私のように琵琶湖の生い立ちとかを,地層の研究からやっているものは,なかなか展示になりにくい.いや,展示の解説とかはかけるのですよ.けれど,解説なんてほとんどの人は読まないし,読む人も,興味ある展示物があってはじめて読んでくれるのであって,本を読んでもらうような感覚では展示ができない.さて,どうしたものか...そういうことでずっと悩んでいるのです.結局は化石を展示することになるのかなぁ,とか.現在考え中.と,今日の展示替えをしながら,そんなことを考えていた.


・2014年3月29日(土)

●高校生による展示の交流

 A展示室の地域の人びとによる展示コーナーは,今は米原高校地学部の展示をやっている.展示をやっている人だけという訳ではないのだけれど,その展示を使ったり,自分たちで採取した標本を使ったりして,自分たちが面白いと思っているフィールドや活動の紹介とかも含めての展示室での交流というのをやっている.今は,試験的に行っているのですが,一緒にやってもらっているのは,湖国もぐらの会という漠然としたしばりのない集まり.実は米原高校地学部も琵琶湖博物館で展示とかの活動をする場合には,その一員としてやってもらったりしている.もっとも,本人たちにはそういう意識はないのかもしれないけれど.
 最近は米原高校地学部の学生がこういう活動をよくやってくれている.先生には生徒たちに展示室でこういった交流というか説明や解説,人と接すること,というのをやってもらうのには教育的な効果ということを考えているのだと思うのだけれど,博物館側にはそういういろんな使い方を模索するというか,展示室が活気づくとかいろんな効果をという思惑がある.で,生徒たちはどうなのか?というのが一番の気になる所なのだけれど,そういう話をすると,やっている時は結構楽しい,といってくれていた生徒もいた.それだと,みんながいろんな思惑があって,ハッピーという状態になるのだから,やっていていいなと思う.もちろん,来館者というか展示を見に来ている人たちにとってもプラスになるというか,楽しさに結びついている,ということも重要ポイントなので,それがなかったら,続けるべきではないと思う.今のところ,来館者の反応は,米原高校の場合だけではなくて,ほかの湖国もぐらの会の人がやってくれている時にも,興味を持ってくれたり,楽しんでくれたりしている様子なので(残念ながらアンケートは採っていないので,数字で示すことはできないのだけれど),しばらく試験的に続けてみたいと思っている.
 ちなみに,このコーナーは4月4日から「滋賀県足跡化石研究会」の展示になる予定.お楽しみに.


・2014年3月25日(火)

●ギャラリー展示

 今日から,ギャラリー展示が始まった.今回は,地学の高橋さんだけの担当で,私は何もしていません.動物の骨標本の展示です.
 新聞社もちらほらと取材にきていて,骨,はわりと人気らしい.
 今回の博物館の担当者は高橋さんですが,主役は骨標本を作っている博物館の「はしかけ」という制度で活動をしている「ほねほねクラブ」の人たち.みんながつくった標本を中心に展示をするというもの.もっとも,私もこういう企画をたとえば鉱物化石展でやっているからわかるけれど,学芸員が展示を直接しないからといって,学芸員の仕事がないわけではない.だから,今回の担当である高橋さんも大変だったことだろう,と思う.今日から始まったので,まだなんともわからないけれど,学校は春休みにはいって,ちらほら人も入っているし,結構人がはいるのじゃないかな.入るといいな.

●高知コアセンター

 先週は高知に行ってきました.去年,国際プロジェクトのIODPで日本海の海底掘削が行われていましたが(「IODP Exp346」とかで検索すると何かわかる),その掘削されたボーリングコアが高知のコアセンターにあるのです.今回は,その掘削されたコアの試料をそれぞれの研究者から出されているリクエストをもとに試料の採取・分配を行うためのあつまり.この集まりのことを「サンプリングパーティー」と言います.サンプリングをする人たちのどんちゃん騒ぎではございません.あらかじめそれぞれの研究者が「どこの場所で取られた深度○○mの○cm部分を○ccちょーだい」というリクエストを出している.そのたくさんのリクエストを,コアの管理者や研究チーフが議論してまとめた指示書をつくり,サンプリングパーティーに参加する研究者がよってたかって採取をする,というものです.
 IODPは基本的に,その掘削調査に参加した研究者のみが研究できるモラトリアム期間,というのがある.なので,乗船していない私のような研究者は基本的に参加できないはずなのですが,乗船研究者と共同研究者なので,参加させてもらえました.私がほしいのはもちろん,火山灰ですよ.「火山灰全部ちょーだい」なんてことをしたら,数が多すぎて大変なことになってしまう(分析量が増えるので)けれども,気持ち的には基本的に「全部ちょーだい」だ.  それにしてもサンプリングパーティーはきつい.8時30分〜18時までやるのだけれど(休憩はもちろんある)ずっとたったままで中腰の作業だから,結構しんどい.右側の写真は,そういうサンプリングパーティーの間の休憩中.結構みんなへばっている.といっても,私は博物館の仕事の関係で,途中で抜けたのですが.みんなは,今週末までずっとサンプリング作業をしている.本当に大変...


・2014年3月16日(日)

●科学への信頼性

 最近のニュースでよく話題になっている理化学研究所のこと.科学の研究は,通常きっちりやられているというのがたぶん一般認識で,それがより最先端科学や世界的な研究となれば,同業者の目もあるので,よりしっかりしたものとなっていると思われていると思う.で,実際の所どうなのか?というと,実際のところそうなのだろうと思う.私は世間的に注目をあびるような分野にいるわけではないので,実際の所は知らないけれど,少なくとも,私の分野については,しっかりしていると思う.
 ただ,科学研究というのは,本当に自分との戦いという部分があって,このデータがもうちょっとこうだったらこれになるのだけれどなぁ,というようなデータを持論へ近づけたいという衝動はたぶんどの研究者にも普通にあるのではないか?と思うのです.とくに,どんどん素晴らしいせいかをあげることを期待されている先端科学をやっている人たちや,次の就職先をみつけないといけない時限付きの研究員をやっている若手研究者とかは,論文数と論文インパクトだけで評価されるのですから,論文が足らないとか,最近インパクトがあまりない,という状況だとそういう誘惑はたぶんあると思う.私がやっている研究のように,持論とデータが合わないということにも意味がある分野ならともかく(といいつつ論文を書けていないのだけれど),思っていたとおりの結果がでなければ,たとえば1年やったことが全くの無駄になってしまう(とその研究者が感じる)自体になったら,自制心は負けてしまうだろうなと思います.
 とか書いているけれど,今回のことが故意に行われたものかどうかはわからないというか,理化学研究所は「そうじゃない」という見解を示しているので,たぶんミスなのだろうとは思うのだけれど.
 今回のことは何も特別なことではない.先端科学での不祥事は結構ある(故意かミスかによらず).そういうことがまとめられた本(たとえばブルーバックスの「背信の科学者たち」とか)なんかも出ているので参考になります.科学的な手続きというのはちゃんとしていても,それを行っているのは人間なんだからいろいろあります.

 明日から高知にある高知コアセンターへ行ってきます.これは結構先端科学で,世界の研究者があつまる試料採取への参加です.どんな感じになるかわからないけれど.まぁプロジェクト自体は先端科学だけれど,私がやっているのは先端でもないので.


・2014年3月2日(日)

●質問コーナー

 今日は質問コーナーの担当日で,一日座っています.最近岩石の質問でよく来てくださる方が今日も来られて,地層の情報もついでに教えてくれました.その他に,ビワコオオナマズの質問とか,小さな水生生物をもってきて,何か教えてほしいという子どもさんとか.やっぱり生き物の関係の質問が多いです.
 さて,その小さな水生生物のことですが,私では当然わからなかったので(このあたりの生き物かな,というあたりはあったのですが),それがわかりそうな学芸員(大塚さん)に来てもらいました.来てもらうときに,「黒い点にしか見えない微生物を持ってきている人がいるので」という説明をしたのですが,大塚さんは,その説明から,ちょっと大きめの微生物だと思って,それを見るための道具を用意して質問コーナーにやってきました.けれど,質問コーナーにきてそれをみた大塚さんは「説明から想像していた大きさよりもずいぶん大きな生き物だ」ということで,C展示室にあるプランクトンをみるコーナーで何かを見てみよう,といって,そちらに行きました.戻ってきた大塚さんは「カイミジンコの仲間だった」という説明をしてくれたのですが,と同時に「微生物ではなくて,もっと大きい生き物,小動物という感じ」といっていました.その説明によると,専門家の間で微生物というと原核生物のようなものをいい,多細胞のものはあまり言わないとのことだそうだ.そのあたりは,一般的な感覚とはちょっとずれているなと思ったのですが,面白いと思ったのは,大塚さんや楠岡さんのように,顕微鏡で確認できるサイズを扱っている研究者は,微生物研究者の中では,大きな生き物を扱っている部類に入る,という話.人によって,大きい・小さいの感覚がまちまちだなと思った.その感覚の違いは,私の分野でいうと,古さの感覚に当てはめることができる.私が地質学の中で話をする場合の「最近」は数万年程度前のこと.ちなみに,地質学の時代区分にある現在から1万年前までの区分である「完新世」は英語で「Holocene」ですが,昔は同義語として「Recent」といったりもしていた(現在は使われない).そういえば,結構年齢のいった研究者との会話で「最近」の話をきいていて,何か違和感があったので「それっていつ頃の話ですか?」と聞いたら「30年くらい前」だったというようなことがあった.話題の内容にもよると思いますが,人の感覚はまちまちだということがよくわかる.


・2014年2月23日(日)

●レイクサイドマラソンへの出店

 琵琶湖博物館もいろいろやっているなぁ,と思うことの一つに,出店展示がある.ここ数年は,移動博物館と称して,それようの展示物をもっていってショッピングモールとか図書館とかいろんなところで展示会をやっていますが,それよりも前からやっているのは,琵琶湖博物館がある烏丸半島が会場になる場合の出店.レイクサイドマラソンは,それが始まったときからそうなのかもしれませんが,ゴールが琵琶湖博物館のある烏丸半島.なので,表彰式なども烏丸半島でやっている.そのためか,ゴール地点付近では,いろんな出店が出ている.その中には食べ物の販売とかもありますが,琵琶湖博物館もその出店というか出張展示,というような感じで出ている.といっても,魚のレプリカとかの展示だけだけれど.
 展示の出店があるので,当然店番が必要です.今回は(というより今回も)ある時間帯の店番をしました.私が店番をしていたのは,表彰式などが終わった後だったので,人もまばらでしたが,それでも魚に興味津々な子どもたちとか,マラソンの実行委員の人とか,マラソン参加者(?)の高校生とかが昔よくいったよ,とかいってくれたりして,交流をしました.昔,じゃなくて,またきてくれるともっとありがたいのだけれどなぁ.


・2014年2月16日(日)

●雪の日ふたたび

 今年は雪の多い年なのか,博物館周りはけっこうなどか雪がつもっている.といっても,これは14日の写真で,2日たった今日はすっかり雪は溶けていて,博物館周りには雪が残っていない.今日は第三日曜日だから,来館者も結構多いです.雪で外に出にくかった人たちが博物館に来てくれているのかもしれないな,と.

●地域の人びとによる展示コーナー

 平成20年から常設展示のA展示室では,地域をよく知る人たちがつくる展示コーナーを試験的に運営しています.試験的に,だから,今は展示を共同企画でよくやってくれる湖国もぐらの会と一緒にやっています.さて,その中には,いろんな人がいますし,学校のクラブも参加しています.今は,米原高校の地学部が展示をしてくれています.で,この企画は展示をするだけではなくて,展示の解説とか展示室での活動も視野に入れています.琵琶湖博物館の展示がいい,という評価には展示交流員という展示室で案内をしたり,展示に興味を持ってもらうように促したりといろんな交流をすることを目的にした職員の存在があるのですが,そういうことから考えても,地域のことを知ってもらうには,地域のことをよく知っている人たちに紹介してもらう方がいい,というように私は考えています.ということで,これも試験的ですが,展示をしている人を中心に湖国もぐらの会の人たちに(時々都合の付くときだけですが)展示室での活動をしてもらったりもしています.今日はそういう日でした.今年にはいって,米原高校の人たちが結構きてくれています.1月11日,2月11日,で,今日です.写真ではカウンターの中にいる黒い服を着ている(学生服)人が地学部の学生です.今日は来館者が多かったこともあって,かなり盛況でした.彼らも初めての経験で,ちょっと戸惑うこともあったでしょうけれど,がんばってやっていました.こういう形で地域を紹介していくのは,いろんな検討が必要なのですが,学芸員や一緒にやってくれている湖国もぐらの会の人たちと相談しながら,これからもやっていくことになると思います.


・2014年2月7日(金)

●雪の日

 2月にはいったと思ったらもう一週間過ぎている.ここ数日は,結構な寒波がきていて,滋賀県もかなり寒い.西側にある比良山や比叡山は雪景色で真っ白.2月2日まであったギャラリー展ももう終わって,資料を多賀町立博物館まで返しに行くのに,前日までは暖かかったのに,急に寒くなり,雪が結構降っているという状態だった.それでちょっと躊躇したけれど,返却の約束をしていたし,とりあえず行こうということになって,湖岸を北上していった.近江八幡のあたりが一番雪が積もっていたという感じだったのだけれど,彦根は思ったほどふっていなくて,多賀にいったら,晴れていた.その日は湖西側の雪がすごかったようで,東の方は割と雪は少なかったらしい.ということで,無事返却も終わりました.

●富士山の防災

 静岡,山梨,神奈川の共同防災会議のようなものがあるらしい.富士山の噴火に備えたもの.それが,2月6日に防災についての発表があったらしく,今朝のニュースでそのことをやっていた.某民放のテレビ局では,それについての解説をやっていたのだけれど,それでちょっと「???」とおもったことがあった.
 防災会議でどのような細かい発表が行われていたのかはわからないのだけれど,1700年代にあった宝永噴火と同レベルの噴火が起こった場合の火山灰の降る範囲とかの話があった後に,降灰量が30cmの範囲は木造の建物から避難しないといけない,という話が出ていた.これについては,降り積もった火山灰の重みで木造の建物はつぶれるからという説明があった.
 で,なぜか,某民放の説明では,一平方メートルあたりに火山灰が10cm積もったらどれくらいの重さになるか,という解説をしていたのだけれど,テレビ局の解説者は300kgほどになるという.私はそこで???となった.
 これは簡単な計算で,1平方メートルなので,厚さの単位であるcmに合わせると,100x100=10,000平方センチメートルだ.それの10cm分の体積だから,100,000立法センチメートルということになる.重さを考えるには,比重をかければいいので,火山灰の比重を考える.たとえば,水の比重は1なので(比重は1立法センチメートルあたり何gかを示す数字)水だったら,100,000gでつまり100kgということになる.テレビ局のいっているおよそ300kgというのであれば,比重はおよそ3ということだ.
 この数字を考えてピンときたのは,岩石の平均的な比重のことで,それはだいたい2.5〜2.8くらいだったと思う.火山灰の場合は,その大部分は火山ガラスというものでできているので,大まかには比重は2.5くらいかそれより軽い.であれば,テレビ局が行っていることはだいたい合っていることになるのだけれど,ここで重要なのは,火山灰は上空から降ってきてふわっとたまるということだ.たとえば,雪がふってきて100cmたまったとしても,その重量計算で比重を1とは考えないだろう.雪の場合結晶になっていたりするので,ある形担っているので,空気をふくんでいてだいたい比重は1よりも小さくなる.火山灰の場合,火山ガラスの比重は2.5くらいとしても,その形によって大きく変わる.富士山の噴火で出てくるであろう火山灰は,おそらく小さな発砲あとがある(つまり泡のようなものがある)形をしていると考えられるので,おそらく見かけの比重はずいぶん軽くなる.私が房総半島の火山灰を分析していた経験的なことでいえば,だいたい比重は1に近い.重くても2までいかない.もちろん,富士山の噴火は宝永噴火レベルだとしても,マグマは比較的思い成分を含んでいたり,鉱物を多く含むだろうことも考えないといけないとは思うのだけれど,それを考慮したとしても,前述の比重くらいが妥当だと思う.なので,比重1であるとするならば,木造建築からは逃げなければならない30cm積もる範囲が,某テレビ局の解説でいっていた1平方メートルあたり300kg,ということになる.これはあくまで想像だけれど,逃げた方がいい範囲の降灰層厚30cmのことと,解説のために簡単な数字にした10cmのこととを混同してしまったのではないか?と思う.まぁ,関西ローカルの番組だったので,ちょっと大げさに言っておいたほうがいい,ということだったのかもしれないのだけれど,それも,私の悪意のある見方か.なんにしても,最近は,テレビや新聞のネタで,疑問に思うことが多い.


・2014年1月23日(木)

●毎日新聞の記事の件

 ちょっと油断しているともう1月も終わりそうなのが悲しい.最近少し体調を崩して,仕事を進められなかったこともあって,やらないといけないことがだんだんたまってきている.困った物だ.
 今日,博物館の同僚から「琵琶湖が動いたという記事が載っているよ」と教えてもらった.教えてもらったのは毎日新聞のネットニュース版なのだけれど,本紙にもでているはずだから,ということで,探してみたら,22日の夕刊に載っていた.社会面.
 何のことかわからない人の為に簡単にいうと,琵琶湖がこの10年間で20cmほど南東方向に動いて,3cmほど狭くなった,ということだそうだ.このことを公表したのは,立命大学の熊谷さんで,熊谷さんといえば,以前は琵琶湖環境科学研究センターにいた陸水学のすばらしい研究者だ.記事では地球物理学が専門ということになっていたので,陸水学が専門と思っていたのは私の思い違いなのだろう.記事によると,国土地理院のもっているGPSデータを使って解析してみたところ前述の様なことがわかったそうで,以前にも話題になった湖底から上がってくる噴出物のことも書かれていた(今回はそれがなんだかわからないような書き方になっていたけれど).そういうのが,東日本の地震の後に日本の近くが活発化しているからじゃないか,なんてことが書かれていた.
 さて,私は地形学者でも地球物理学者でも地震学者でもないので,物事の真偽ははっきりとはわからない.だけれども,記事に書かれていない事実だけは(自分が忘れないうちに)書いておこうと思う.
 琵琶湖動いた,というと,移動する湖としての「移動」と同列に扱われてしまうことがあると思う(実際にそういう言い方をしている人を見たことがある)けれど,話のレベルのかなり違う話.琵琶湖のおいたちで語られる「移動」は,ある土地の中で堆積物のある場所(要するに土砂をためる所としての湖の場所)が変わってきているという意味.今回の報道にある「移動」は地球を網の目のように位置を決めてそれに対してどれくらい動いたかという「移動」です.この違いはわかりにくいと思うので,今回の報道をわかりやすくいうと,日本列島(本当は列島のあるプレートの一部が場所によって移動距離に違いがありつつ)が動いてたということです.ちなみに,東北の震災の時には,最大で5mくらい動いている.今回の発表はここ10年ということだから,震災の時に動いた分も当然ながら積算されている.この時には,東北から離れている近畿にも少なからず影響があっただろうし,今現在も近畿地方はフィリピン海プレートに押されて,ちょっとずつ動いている.その動きは,琵琶湖とかそういう規模ではなくて,岩盤全体の動きとして動く.このような動きは,場所によって変化があるので,記事にあるような琵琶湖が狭くなった(記事を見てもらうとわかるけれど,高島市と彦根の観測地点でのずれが3cmほどある,というだけで,しかも両観測地点のある東西方向ではなくどちらかというと南方向なので,それをもって3cm狭くなったとは正しくは言わないと思う),というような考えに結びつくのだろう.
 ようするに,今回の記事から一般の人が感じるであろう「琵琶湖という水をためている場所がうごいた」ということではなく「琵琶湖という湖をふくめて山もなにもかも全体的に地球の活動によって動いていて,近畿地方の滋賀県地方ではだいたい20cmくらいうごいたらしい」というのが正しいと思う.
 ちなみに,「南東方向へ」というのも,どこを固定点としてとるかが問題なのだと思うのだけれど,一般的に知られている事項として,近畿地方を含む西南日本は,フィリピン海プレートが日本列島の下に潜り込んでいる力を受けて,北西の方向に動いている,ということとずれている.固定点を変えれば,動きの方向は変わる.国土地理院の【このページ】では,ここ一年の日本列島の地殻変動を見ることができるので,固定点(このページでは固定局となっている)を変えてみるとわかると思う.
 琵琶湖のおいたちで語られる移動とはレベルが違う,という話をしたけれど,どう違うかがいまいちわかりにくいかもしれない.ここでいう移動は,今残っている地層を元に水のたまる場所が変わってきたことを示す移動のこと.これは400万年よりちょっと前から起こっていることだけれど,たとえば,100万年前頃には伊豆半島の日本列島への衝突などで,日本列島の屈曲が少し日本海側へ戻された(つまりそれ以前は今よりも逆くの字にもっと曲がっていた)とされているので,GPSでの地点はこれだけで近畿地方自体の位置が変わっているはずで,そういうこととは関係なく,おいたちの移動は近畿地方の土地の中でどう動いたか,ということです.
 なお,琵琶湖が狭くなった,という話に関しては,今回のGPS結果はどうであれ,一般的な見解として,この場所が東西圧縮を受けている,ということがあり,そのことが,琵琶湖の西側の断層運動をつくっているとも言われているので,一時的にその圧縮で狭まっていても不思議ではないと思う.また,東北の地震以降に,地殻の活発化が起こっているのかどうかに関しては,いろんな意見があるので,一概にはなんとも.それよりも,阪神の地震なども含めて,フィリピン海プレートの動きによって,かなり圧力が高まっているということがよく言われているので,どちらかというとそっちの方が問題かもしれない.
 ちょっと話が長すぎた.


・2014年1月3日(金)

●今年もよろしく

 琵琶湖博物館は今年も1月3日から開館しています.入口には正月飾りがあります.琵琶湖博物館の開館が3日からというのは,ある程度浸透してきたのか,今日もわりと来館者があって,12月末の寂しい雰囲気とはちがった雰囲気がありました.副館長はもっとたくさん人がくることを期待していたようですが,まぁ毎年こんな感じでしょう.
 今年は一般の会社の人や官公庁は休みが長くなる曜日設定だったようで,わりと年末年始の休みはいつもより長くて,6日からのところが多いと思いますが,正月でも,スーパーとかモールとか,レストランとかはやっているところが多く,日本はますます休まない社会になってきたなぁという感じがあります.去年は後半がやや景気も上向きかげんだったようで,正月にお店が開いていても意味のあるオープンなのかもしれません.そういえば,一般の博物館で考えると正月にあいているところは少ないのかもしれませんが,水族館や水族園,動物園などは年末年始も生き物の世話があるのでどのみち職員が出勤しているくらいならオープンにしよう,というところが多いのか,正月にあいているところが少なくありません.琵琶湖博物館もそういうところの一つだというように考えられると,正月もあいている,と思う人がいるのかもしれませんね.実際のところどうなのでしょう?
 私も今日から出勤です.今年はどんな年になることやら.今日の天気のように,晴れやかになるといいです(山には雲がかかっているというのがみそですが).今のところ博物館のリニューアルを考えていますが,年度があけるとどうなっているのかは全くわかりません.研究にかんしては,昔参加したIODPのExp333のデータを公表する期限が迫っているのと,別のプロジェクトのことがあったり,琵琶湖の起源に迫る研究はちょっと停滞気味だから何とかしないといけないのと,いろいろと大変な状況だというのに,ちっとも進展する気がしない,というところが大きな問題...
 ともかく,なにもない年,というのはあり得ないわけで,今年もいろいろあるのでしょうけれど,自分のできることを精一杯やるしかないのです.どうか今年もよろしくお願いします.



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