A展示室の場所:入り口付近の滋賀県の山をつくる岩石
(海でできた岩石が山を作っている説明)
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| 図1 展示室のモニター |
科学で説明される事柄は、将来的にはくつがえされる可能性はあります。実際、昔信じられていた科学理論が現在では通用しないということはよくあることです。プレートテクトニクス論については、1960年代くらいから発達してきた比較的若い理論でありながら、かなりの一般性をもった理論として普及しているのは、様々な現象を明快に説明していることに要因があるようです。それはもともと、地球上にあるいろんな現象の説明として出てきた理論だからです。
たとえば、南アメリカ大陸の東海岸とアフリカの西海岸付近の昔の気候が似ている、とか、オーストラリアや南アメリカなど南半球にある大陸の化石からみた昔の生物分布が似ているとか、大洋の海底の地形が説明しやすいとか、逆に大洋の端には海溝と呼ばれる深い溝があり、そこはプレートの沈んでいくところになっているとか、プレートの境界付近は力がかかっているために地震が多い、、、など、こういった事柄を統一的に説明する理論として発展してきました。
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| 図2 大陸移動のヒントになった大陸。たしかに、形を変えなくても、少し移動させるだけで、ぴったり合う |
プレートテクトニクス論以前には、ウェゲナーの大陸移動説などがありました。実際プレートテクトニクス論はそれらから発展しましたが、実際には大分違う理論と考えられます。ウェゲナーの大陸移動説は、大陸の移動に視点をおいたモノで、地球上の大陸が移動するという考えでした(図2)。しかし、プレートテクトニクス論は、大陸が移動するのではなく、地球の表面をいくつかに分かれた(つぎはぎだらけの)プレートという殻が取り巻いており、その殻が動くために、大陸も一緒に動いていると考えたのです。つまり、大陸だけが動くのではなく、海底も陸上も島も地球の表面すべてがうごいていると考えました。そこが大陸移動説とプレートテクトニクス論の大きな違いです。
滋賀県の山を作る岩石の中で、海底でできた泥岩や沖合の暖かい海でできる石灰岩が滋賀の山を作る説明としては大陸移動説では説明できません。海でできた、しかも陸から離れた海の底や暖かい海の珊瑚礁でできる岩石が滋賀の山を作る説明としては、海底が動くほうが説明しやすいのです。
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| 図3 地球の輪切り(左図)と卵の輪切り(右図)。 |
プレートテクトニクスという言葉は、”プレート”と”テクトニクス”の2つの言葉を併せたもので、プレート(plate)は板、テクトニクス(tectonics)は構造や運動といった意味です。板の運動を説明した考えだという意味になります。それではここでいう板、というのは、どういうものでしょうか?
それを考えるために地球の内部がどうなっているかを見ましょう。
地球を輪切りにすると、卵を輪切りにしたのと同じような感じに見えます(図3)。卵の黄身に当たる部分が”核”(内核と外核に分かれる)という部分になり、そのまわりを取り巻いているマントルは、卵の白身に当たる部分です。そして、マントルを覆うのが地球の一番外側にある私たちが住んでいる部分で、地殻とよばれるところです。これは卵の殻にあたるものです。プレートは、基本的には地殻と思ってもおかしくはありませんが、実際には地殻の下にあるマントル上部付近までがプレートとされています。
ともかく、地球を輪切りにしたものが卵の輪切りのようなものだとイメージが出来るのですが、卵の殻とは異なっているところがあります。卵の殻は完全に中身を覆っていて一枚の殻からなっていますが、プレートはいくつかのかけらが合わさって出来ています。ただし、合わさっているといっても、ジグソーパズルの様な感じではありません。では、いくつかに分かれているプレートはどのように合わさっているのでしょうか。
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| 図4 プレートの移動”離れる”。左図は、単にプレート同士が離れるだけでは、その間に隙間があく、ということを示す。右図は、実際に考えられるプレートの”離れる”運動。離れていく場所はプレートが新しく更新されている場所でもある |
ジグソーパズルのような組み合わせでは、パズルのひとかけらはそれぞれに動くことはできません。しかし、プレートは動いています。動いていると言っても、プレート同士に隙間があるわけではありません。プレートが互いに動きあっていると、離れる、すれ違う、ぶつかる、という事が起こります。プレート運動の基本は、地球表面付近の水平移動をして、プレート同士の関係は、離れる、すれ違う、ぶつかる、が基本になります。
”離れる”(図4)
プレートが互いに離れていくという事は、そこに隙間ができるという事になってしまいます。しかし、隙間はできずに、新しくプレートが付け足されていきます。つまり、プレートが離れる場所は、プレートが新しく生まれる場所でもあります。付け足されるのは、下からわき上がってくるマントルの一部が加わることになります。
”すれ違う”(図5)
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| 図5 プレートの移動”すれ違う”。すれ違っているところは断層になる。この断層を特にトランスフォーム断層という。2通りのすれ違いがあり、左図は左横ずれ、右図は右横ずれ、といい、見分け方としては、ずれている場所をまたいだ時に、後ろへ下がっているほうが左か右かで、判断する。矢印は相対的な力の入り方を示すので、互いのプレートのすすみ方が反対方向へ向いていなくても良い。たとえば、左図の場合、どちらのプレートも同じ方向へ向いて動いているが、左側のプレートのすすみ方が遅いという動き方でも同じ事がおきる。 |
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| 図6 プレートの移動”ぶつかる”。”ぶつかる”はぶつかり合うプレートの重たさが深く関係する。大陸プレートは海洋プレートよりも軽いため、大陸プレートと海洋プレートがぶつかると、海洋プレートが沈み込む(左図)。これは日本海溝などにみられる。また、大陸プレート同士がぶつかると、どちらも軽く沈み込めないため、互いにぶつかったところがつぶれていき、もり上がってくる(右図)。これはヒマラヤ山脈などの例がある。図中にはないが、海洋プレート同士がぶつかると、移動する力や重たさに関連して、どちらかが沈み込もうとする。 |
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| 図7 プレートの更新イメージ図と、沈み込み帯のイメージ図 |
プレートの組み合わせ、つまり境界部分では、基本的に離れる、すれ違う、ぶつかる、があると述べましたが、それぞれにも何通りかの組み合わせがあり、実際には複雑な動きをしているようです。ただ、モデルとしては、”離れる”場所から、新しい海洋プレートが生まれ、長い年月をかけて移動し、あるものは、一つのプレート内で進む速さが違うために引き裂かれ”すれ違い”がおこり、2つのプレートに分かれたりします。そして、大陸プレートに”ぶつかった”海洋プレートが沈み込んでいきます。ここで、海洋プレートに注目すると、”離れる”で生まれた海洋プレートは、少しずつ動いて”ぶつかる”ところで沈んでいき、地球の内部へ消えていくと考えられます。このことは、海洋プレートが徐々に新しいモノへ入れ替わっていく事を示しています。それに対して、大陸プレートは沈むことができないので、ほとんど入れ替わることがありません。ですから、大陸には古い岩石が残っています。
最近はそのプレートが動く理由も考えたプルームテクトニクス論があります。これは、プレートテクトニクスが地球表面の運動を説明したのに対し、地球内部の運動にまで説明を深めています。そして、プレートテクトニクス論ではわからなかった疑問点(例えば、プレートが動いている本当の原因、沈んでいったプレートはどうなるのだろう?など)の答えを述べています。さらに、プレートテクトニクスの地球表面運動とプルームテクトニクスの地球内部の運動とをあわせて地球全体の運動を理解しようとする”全地球テクトニクス論”が展開されてきています。
しかし、ここではあまり複雑になるといけないので、プレートテクトニクス論の話にとどめておきます。
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(参考図書) 沓掛俊夫(1995)地球史入門.産業図書,173p. 平 朝彦(1990)日本列島の誕生.岩波新書,226p. 大原 隆・西田 孝・木下 肇,編(1989)地球の探求.朝倉書店,226p. 高橋正樹(2000)島弧・マグマ・テクトニクス.東京大学出版会,322p. 熊澤峰夫・丸山茂徳,編(2002)プルームテクトニクスと全地球史解読.岩波書店,407p. |
地学講座:第1回「プレートテクトニクス」
2003年1月22日(水)
(c) satoguchi
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![]() 第2回岩石のでき方 |