「近江の国 中世なんでも探検隊」

〜中世の遊びに隠されたひみつ〜

  

2001年6月16日
滋賀県立琵琶湖博物館 橋本 道範

まずは、中世の遊びをやってみましょう。


<すごろく>
 最初は、すごろくです。今回は碁石を使ってやりましょう。
盤は今日は段ボール紙でつくります。どうですか。 中世のすごろくは、私たちの知っている双六とはだいぶ違いますよね。 結構、頭を使うゲームでしょう。
中世の人々は、バクチとしてこのすごろくに熱狂し、すごろくの名人もたくさんいました。その姿は、「職人」として絵巻に描かれています(『東北院職人歌合』)。
 ここで興味深いのは、その姿が巫女さんとセットで描かれている点です。 また、お産の様子を描いた絵巻のなかで、巫女さんの脇にすごろく盤が描き込まれています(『餓鬼草紙』)。
どうやら、中世の人々にとって、すごろくは単なるゲームではなかったようです。


<ぎっちょう>
 次は、毬杖をやってみましょう。 ボール(毬)とスティック(槌)は、そこら辺の木を 切ってつくりましょう。大人の方が熱中していますね。
 この毬杖はお正月の遊びですが、みなさんが打ったこのボール、実は、もともとは鬼の頭(目玉という説もあります)にみたてたものでした。


<とうちゃ>
 だいぶ汗をかきました。ここで、「一服」。お茶でも飲みましょうか。
コンビニで売っているお茶のペットボトルを全種類買ってきました。これから、三回みなさんにお茶を飲んでいただきます。 一回目、二回目に飲んだお茶をよく覚えておいてくださいね。
三回目に配ったお茶は、一回目、二回目どちらのお茶でしょうか。それとも別の種類のお茶でしょうか。
 お茶は、もともとは団茶といって、固めたお茶を煮出して飲んでいましたが、十三世紀 頃に中国から石臼(茶臼)が伝わってきてからは、石臼で粉にし、その粉末をお湯で溶かして飲むようになりました。それにしても、とにかく勝負事が好きですね。


<子をとろ、ことろ>
 最後に、どうしてもやってみたいことがあります。中世の鬼ごっこです。
地獄へと引き立てられている人々をお地蔵さんが助け出しました。でもたいへんです。 地獄のガードマン(獄卒)が奪い返しに来ます。お地蔵さんは守りきれるでしょうか。


 どうでしたか。楽しんでいただけましたか。「たかが遊び」ですが、実は中世を探検するための糸口がたくさんありました。
 次回は、ちょうど七夕。七夕には欠かせない中世のそうめん、ムギナワを素材に、麦と石臼の問題を考えてみたいと思います。

 なお、今回の「中世の遊びを探検」にあたり、 いつきのみや歴史体験館(三重県多気郡明和町)のご協力を得ました。 また、以下の文献を特に参考にしました。

酒井欣『日本遊戯史』(建設社、1933年)
小高吉三郎『日本の遊戯』(羽田書店、1943年)
関忠夫『日本の美術32 遊戯具』(至文堂、1968年)
『古事類苑 遊戯部』(吉川弘文館、1969年)
横井清『中世民衆の生活文化』(東京大学出版会、1975年)
保立道久『中世の愛と従属ー絵巻の中の肉体ー』(平凡社、1986年)
広島県立歴史博物館編『遊・戯・宴・中世生活文化のひとこま・』(広島県立歴史博物館、1993年)
増川宏一『ものと人間の文化史79-1 すごろく1』(法政大学出版局、1995年)
小野正敏編『図解・日本の中世遺跡』(東京大学出版会、2001年)
『平安の遊び・貝覆い・盤双六・』(いつきのみや歴史体験館、刊行年未詳)


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