琵琶湖博物館 『参加型調査 タンポポ調査報告』

タンポポ Q and A

調査用紙の中にメッセージを書いていただく欄を設けたところ、 いろいろな質問を寄せていただきましたが、個々にはお答えすることができませんでした。 そこで、数が多かった質問に、お答えしたいと思います。

Q タンポポの食べかたを教えてください
A セイヨウタンポポはもともと明治初期の北海道開拓の際にアメリカ人が 食用に持込んだものだといわれています。ごく普通に食べられていたようで、 アメリカやヨーロッパの小説や絵本などには、よくでてきます。 春に新しく伸びだした大きめの葉は、ほとんどアクもなく、 おいしく食べることができます。ぜひためしてみてください。
タンポポの葉 一番普通なのは、タンポポサラダ。できれば春に伸びた新しい大きな葉を採って、 ほかの野菜とまぜて、サラダにします。ザックリ切っても、手でちぎっても、 何と混ぜてもお好みしだい。少しにがみがあって、とてもおいしい。
 お湯に通しておひたしやゴマあえにしても、おいしいし、バターいため、 酢味噌あえと、いろいろと工夫しみてください。

タンポポの根のキンピラ
まず大変なのは、タンポポの根を掘り取ること。まっすぐに深く入っていますので、 簡単にはいきません。たいていはここで挫折してしまいます。 土の柔らかい、掘りやすい所を見つけるのがコツですが、 田んぼの畦や池の堤防などでは絶対に掘らないようにしてください。 後は洗って、ゴボウのキンピラと同じように料理してください。

タンポポコーヒー
まずタンポポの根をたくさん集めます。よく水で洗って、みじん切りに。 広げて充分に乾かした後、焦げるまでフライパンで炒ってください。 これでできあがり。飲む時は、紅茶のように熱湯を通すか、あるいは袋にいれて、 煮だしてもいい。カフェインの入っていないコーヒーという感じです。
Q タンポポは薬草と聞いていますが、どんな効用があるのですか
A 日本でも、また外国でも民間薬として使われているそうです。 本当に薬効があるのかどうかは、よく知りませんが、本に書いてあることによれば、 花が咲く前の根を干して煎じて飲むらしく、薬効として、 健胃、利尿、催乳、浄血、胆のう、肝臓の薬などがあげてあります。 干した根、5〜10gを200ccの水で煎じて飲むそうです。 出典は「タンポポの観察実験」(山田卓三、ニューサイエンス社)
Q タンポポの根は深いと聞いていますが、どのくらいでしょうか
A ざっと1〜2mというところでしょうか。 本当に深くまで根が入っていることはよく知られていますが、 なかなか掘って調べることはできません。 植物関連の科学絵本で根の先端まで掘って、写真に写した物を見たことがあります。 その写真がやはり2mほどはありました。
 この太くて長い根は、タンポポの秘密のひとつです。 地下にたくさんの栄養分を蓄えていますから、春に元気に花を咲かせますし、 踏まれて傷ついても、すぐに回復することができます。
Q タンポポの茎や葉をちぎると出てくる白いしるは何ですか
A タンポポのチチといわれるこの乳液は、 タンポポの葉や茎全体に通じる枝別れした管に入っていて、どこを切っても出てきます。 いわば針葉樹のヤニのようなもので、広葉樹や草本植物でも、乳液をだす仲間が決まっています。 タンポポの場合には、この乳液は、傷をふさいだり、 傷口からの細菌やカビの進入を防ぐ役割をしているといわれています。
 タンポポの仲間でこの乳液にゴム質を多く含む種類があります。 ゴムノキは熱帯の植物なので、寒いところではゴムが取れないため、 このタンポポからゴムを作ることが行なわれているそうです。
Q タンポポが好きな環境というのは、どんな場所ですか。
A 在来種、帰化種と区別して、その生えている場所を調査しているわけですが、 とても大切なことは、どちらのタンポポも人のくらしにむすびついたような場所だけに 生えている植物で、もともとの日本の自然である、森林の中や草原の中には生えていません。 タンポポは、柔らかく、やや湿けて、養分が多い土が好きです。 また上に背の高い植物がなくて、太陽の光がよくあたる場所でなければ、 生えていることができません。
 在来種のタンポポは、いつも草刈りがされている、田んぼのまわりや農道の脇など、 いわゆる人里と呼ばれるような場所に生えています。そのような場所は、 いつも同じ程度に人手が入っており、人手が入っていることによって 初めて同じような状態が保たれているような場所です。 帰化種のタンポポは、道路の脇や広場、住宅地など、 比較的最近にこれまでとは違った強い人手が入り、例えば工事がされて、 これまであった植物がなくなったような場所をさがして生えています。 どちらも人のくらしに結びついた場所だけでくらす植物であることは同じです。
 でも、とてもおもしろい問題があります。 人間が自然を拓き、田畑を作って生活をするようになってから、 たかだか1万年にもなっていません。 でもタンポポはそれよりずっと前から日本には生えていたはずです。 人間が自然の開発を始める前には、タンポポはどこでくらしていたのでしょうか。 在来種のタンポポが好きな、いつも草刈りがされて、 日があたるような環境はあったのでしょうか。 そのころタンポポはそんな場所をさがして、細ぼそとくらしていたことでしょう。 そんな場所はどこにあるのか、考えてみませんか。